「IoTプラットフォーム」導入の基本【前編】
「IoTプラットフォーム」の3つの導入モデルとは? 何を「指針」とすべきなのか
IoTでモノが生み出す大量のデータを収集・分析するには、デバイスへの接続やデータ格納など、必要な機能一式を取りそろえた「IoTプラットフォーム」が必要になる。その基本機能や導入形態を紹介する。
ITによって生産プロセスを革新する「インダストリー4.0」の構想が誕生して以来、企業の間ではモノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)のテクノロジーを活用し、新規ビジネスの展開や既存ビジネスの効率化を進める取り組みが広がっている。こうした新しいテクノロジーを活用してイノベーションを起こすには、
- アイデアを素早く形にして検証する
- 獲得したノウハウを蓄積し共有する
ことが重要となる。このためには、部門横断で利用できる「IoTプラットフォーム」を導入し、活用することが有効だ。IoTプラットフォームの定義はさまざまだが、ここではセンサーから取得したデータを蓄積し、活用するための機能群をまとめた製品を指す。
現在、さまざまなIoTプラットフォームが登場している。本稿では、製品選定の際、前提として知っておくべきIoTプラットフォームの基本的な機能や導入モデルについて紹介する。
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IoTプラットフォームを構成する機能領域
IoTプラットフォームは、以下の4つの機能領域で構成されている。
- データへの接続
- データ収集の主要な手段であるセンサーからのデータ収集/管理機能。センサーとの接続、センサーとIoTプラットフォームの双方向通信、センサーのステータス監視、センサーのファームウェア更新などの機能がある。
- データの格納
- 収集したデータや分析結果などを蓄積する機能。ファイルストレージやリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)、NoSQL(RDBMSではないDBMS)、メタデータ管理ツールなどがある。
- データ処理
- センサーから収集したデータをリアルタイムで加工したり、可視化や機械学習などで必要な形に整形したりする機能。時系列データや画像データから学習モデルを作成する機械学習などの機能も含まれる。
- データ活用
- データ処理した結果をさまざまな方法で活用する機能。データの可視化や機械学習を使用したアプリケーション開発、デバイス制御情報のフィードバックなどがある。
- データ処理結果を統合業務(ERP)システムや顧客関係管理(CRM)システムなどと連携させる他システム連携API(アプリケーションプログラミングインタフェース)などもこれに含まれる。
IoTプラットフォーム選定の指針と評価軸
IoTプラットフォームの市場には前述した4つの機能領域のうち、ある特定の領域に特化した製品から、全ての領域を幅広くカバーする製品まで、さまざまな製品が存在する。その中から自社に適した製品を選定するためには、選定の「指針」と「評価軸」を明確にすることが重要となる。
指針
現状、市場にある数多くの製品を全て評価することは、企業にとっては時間的にもコスト的にも難しい。効率的に選定するためには、指針を基に評価の対象となる製品をリストアップすることがポイントとなる。指針の中核となるのは、以下の3つのモデルに分類される導入形態である(図)。これらのいずれが自社に適しているかを検討する。
- スイート(Suite)モデル
- 機能領域を幅広くカバーする単一の製品を導入するモデル。単一のベンダーから全ての機能が統合された状態で調達できるため、他の導入モデルと比べて導入や運用管理の負荷が低くなるメリットがある。半面、個別機能の機能性や先鋭性で比較すると、特定の機能に特化した製品には劣る可能性がある。
- ベストオブブリード(Best-of-Breed)モデル
- 各機能領域の中から自社に一番適する機能を選択して組み合わせるモデル。自社の要求に対する実現度が高くなるメリットがあるが、各機能を統合する難易度とコストも高くなる傾向にある。
- ハイブリッド(Hybrid)モデル
- スイートモデルをベースとしつつ、特定の強化したい機能については別の製品を追加するモデル。
「アーキテクチャに一貫性を持たせ、プラットフォーム導入後の運用やコストの負荷を低減する」「運営を進める中で機能強化を図る」といった目的があれば、スイートモデルかハイブリッドモデルを採用すると効率的に選定できるだろう。実現したいユースケースがある程度明確になっていて、それに特化した製品がある場合はベストオブブリードモデルをベースに選定を進めるとよいだろう。
導入形態の他にも指針として定めておきたい点がある(表)。例えば「地域性、サポート」「導入・利用形態」「言語対応」といった製品の属性に関する情報がある。これらも製品をリストアップする際に考慮しておくべきだ。
| 項目例 | 考慮したい内容 |
|---|---|
| 地域性、サポート | 製品やサービスの提供対象となっている国、受けられるサポートの内容、製品取り扱いベンダーなど |
| 導入・利用形態 | クラウドやオンプレミスといった提供形態、ライセンス、課金体系など |
| 言語対応 | 製品利用に必要となる言語 |
執筆者紹介
田口貴一(たぐち・たかかず) EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング シニアマネジャー
外資系コンサルティングファームおよび事業会社を経て現職。IT投資戦略やIT組織/人材戦略といった戦略策定からIoTプラットフォーム構想策定、ビッグデータマネジメントプロセス策定といったエマージングテクノロジー関連プロジェクトまで多数のプロジェクトをリード。幅広い業界におけるプロジェクト経験を有する。IT戦略/ITガバナンスおよびデータマネジメントの領域を得意とする。
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「IoTプラットフォーム」導入の基本
製造業、小売、医療、物流などさまざまな業界で活用が期待されるモノのインターネット(IoT)。その実現にはIoTに必要な機能群を搭載した製品である「IoTプラットフォーム」が必要だ。製品選定のポイントを紹介する。
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