複雑化するコラボレーションツール市場
「Dropbox」が大規模アップデート G SuiteやSlackとの連携強化の狙いは
「Dropbox」は大規模アップデートにより、「G Suite」「Slack」「Zoom」など他のコラボレーションツールとの連携を強化した。Dropboxに新しく追加された機能と、Dropbox社の戦略について詳しく説明する。
Dropbox社は2019年6月に、オンラインファイル同期サービス「Dropbox」のユーザーインタフェースを大規模にアップデートした。ユーザーはさらに多くの作業を、Dropboxから離れることなくできるようになる。
今回のアップデートでDropboxは、新たに「G Suite」「Slack」「Zoom」などのコラボレーションツールとの連携を強化し、PC版クライアントアプリケーションにも新機能を加えた。コメントやToDoリスト、アクティビティフィード(ユーザーによる変更履歴を表示する機能)のほか、誰がファイルを見たかを確認できる新機能や、フォルダのトップにドキュメントをピン留めできる新機能などがある。
先行利用のオプトイン(意思表示)をすれば、新しいPC版アプリケーションを利用できる。Web版とモバイル版のクライアントアプリケーションは、段階的に更新される。Dropboxの各アプリケーションの更新版は、最終的にはコンシューマーを含む全ユーザーが利用できるようになる。
Dropboxの新機能
Dropboxのアップデートで、ユーザーがG Suite(「Googleドキュメント」「Googleスプレッドシート」「Googleスライド」)形式のファイルを、Dropbox内部で作成して保存できるようになった。「Microsoft Office」形式のファイルをオフィススイート「Office 365」またはG Suiteで開き、編集した内容を自動的にDropboxに保存することもできる。
ユーザーはSlackとの連携機能を利用すると、Dropboxのクライアントアプリケーションを数回クリックするだけで、自身がDropboxで保存しているファイルをSlackで共有したり、ファイルやフォルダについての会話をSlackで始めたりすることができる。Slackのアクティビティフィードを参照して、どのファイルがいつSlackで共有されたかを確認する機能もある。
Web会議ツールのZoomについては、Dropboxから会議の開始と参加ができるようになるため、Dropboxで保存したファイルを共有する際の効率性が向上する。Dropbox社によると、Atlassian製のプロジェクト管理アプリケーションとの連携も近いうちに実現する。
そのほか既に連携できる製品/サービスとして、
- 電子署名サービスの「DocuSign」「HelloSign」
- オンラインメールサービスの「Gmail」
- 動画配信サービスの「Vimeo」
- ファクシミリ(FAX)サービスの「HelloFax」
- PDF変換・編集ツールの「Nitro」「airSlate」「Smallpdf」
- 画像編集サービス「Pixlr x」
が挙げられる。AdobeやAutodeskの製品/サービスとの連携も可能だ。
連携強化の狙いは打倒「Box」か
「コラボレーション市場では『製品の価値を引き出すために、何かと連携することが必要だ』とDropboxが気付いた」と、IDCのアナリスト、ウェイン・カーツマン氏は話す。Dropboxがいずれ、より多岐にわたる企業向け製品/サービスと連携するようになっても「驚くには当たらない」とカーツマン氏は語る。
Dropboxは企業のコミュニケーションとコラボレーションの中心となることを目指している。Dropbox社の方針は、クラウド形式のコラボレーションツール業界のトレンドに沿っている。ベンダー各社は自社サービスを企業のコラボレーションの中心になるツールと位置付けつつも、同時に競合他社の製品/サービスと連携させている。
コンシューマー市場で強い地盤を持つDropboxは、競合の「Box」が浸透している企業向け市場でも定着を試みている。競合の一社であるMicrosoftは、オンラインファイル同期サービスの「OneDrive」を、Office 365のユーザー向けに追加料金無料で提供している。
「自社製品/サービスをコラボレーション作業の中心にするために、コンテンツだけでなくプロセスやコミュニケーションなどの要素も含めて他社製品/サービスと連携できるようにするトレンドは、間違いなく存在する」。「CCS Insight」の名称で事業展開する調査会社Clickchartの主席アナリスト、アンジェラ・アシェンデン氏はそう解説する。
自社のコラボレーションツールを業務の中心に据えさせようとするベンダーがこれほど多くなると、どのツールを使うかに関してユーザーの混乱を招きかねないとアシェンデン氏は言う。「企業にとっては、どのツールを導入するかの判断を巡る混乱が起きるだろう」(同氏)
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