「OneDrive」「Dropbox」「Google Drive」 “失敗しない”ファイル同期/共有ツールの選び方IT環境や業務に合ったニーズの見極めが必要(1/2 ページ)

ファイル同期/共有ツール(EFSS)を比較する企業にとって、セキュリティ、ユーザーの操作性、コラボレーションの機能、ファイルの同期機能は見逃せない。

2017年07月09日 05時00分 公開
[Kevin BeaverTechTarget]
画像 OneDriveなどのEFSSは、あらゆる業界の遠隔業務に不可欠になりつつある

 自社に最適なファイル同期/共有(EFSS)システムを導入した企業は、従業員同士のコミュニケーションや生産性を高め、ファイル管理のセキュリティを強化できる。EFSSは、クラウドと従来のネットワークシステムを使用して、社内コンテンツのスムーズな共有や保存といったニーズに対応するビジネス向けツールだ。EFSSは、ベンダーまたは自社の情報システムと連携し、ファイルを暗号化したうえで転送または保管する。ユーザー側は、EFSSに預けたファイルを閲覧、管理することができる。企業によるEFSSツール導入は、従業員に、個人用ファイルから部門全体で共有したファイルまで、いつでもどこでも安全なアクセスを可能にする。そうした動作は、社内PCからでも、モバイルデバイスからでも可能だ。

 比較的少数のベンダーが、EFSS市場の大部分を構成している。その中には、EFSSになじみのあるベンダーとそうでないベンダーが混在する。特定のベンダーの製品を選ぶ前に注意すべき点は、IT製品の導入を成功させたければ、自社固有のニーズに対する十分な理解が欠かせないということだ。業務の安定や、従業員同士のデバイス間のファイル共有や共同作業の促進など、EFSSが強みを発揮する主な領域は5つある。本稿では、それを紹介していこう。

データセキュリティ

 EFSS製品の中には、大企業のニーズにも対応できる強力なセキュリティを備えたものがある。例えば、Microsoftはオフィスアプリケーション群である「Office 365」の一部として提供する「Microsoft OneDrive」に、データ損失防止テクノロジーを導入している。同テクノロジーによって、多種多様なアプリケーションに保存された知的財産や個人情報の保護が可能になった。Googleは、企業向けアドオンである「Google Vault」に「eDiscovery(注1)」や「訴訟ホールド(注2)」の機能を備えている。同様の機能は、EgnyteやMicrosoftなど他のベンダーの製品にも備わっている。

※注1:米国の民事訴訟制度において、当事者同士による訴訟に関わるあらゆる電子データの公開手続きのこと。

※注2:訴訟に関するあらゆる電子情報を保存する機能。

 BlackBerryの「BlackBerry Workspaces」は、ファイル内部にセキュリティ機能を直接組み込むことで、デジタル著作権の管理を可能にした点を売りにしている。BlackBerry Workspacesは、既存の企業の認証システムやモバイルデバイス管理テクノロジーとも統合可能だ。保管中のデータや転送中のデータの暗号化も必須機能だが、この機能は全てのベンダー製品に備わっている。Egnyteを含む一部のベンダーは、顧客企業の従業員がクラウド内ではなく自社システムの暗号化機能やキー管理機能を使って社内データを保護できるようにしている。

 各業界や国が定める法令や基準への対応状況は、EFSSベンダーによって異なる。例えば、FERPA(家庭教育の権利とプライバシーに関する法)、米国政府によるクラウドセキュリティ基準「FedRAMP」、HIPAA(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)など、企業がコンプライアンス関連の特殊なニーズを抱えている場合、ベンダー側が対応できるかどうか事前に確認しておくのが望ましい。ITやセキュリティに関する専門スキルや知識が限られた中小企業の場合、GoogleやDropboxなどの有名ベンダーによるコンプライアンスやセキュリティへ機能で十分な可能性もある。どのベンダーも、EFSSの安全な実装や継続的な管理を実現するため、膨大な量のリソースを投資している。

ユーザーの操作性

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