全般的な対策からVDI製品別の対策まで
「仮想デスクトップはPCより安全」は幻想 VDIの必須セキュリティ対策3選
「通常のデスクトップと比べ、VDIによる仮想デスクトップはセキュリティ侵害を受けにくい」という俗説は誤りだ。VDIに潜むリスクと、セキュリティを強化する方法を紹介しよう。
「『仮想デスクトップインフラ』(VDI)による仮想デスクトップは、通常のデスクトップよりも安全だ」という俗説が広まっている。だが実際には、仮想デスクトップも攻撃を受けやすく、セキュリティ問題が発生しやすい。VDIのセキュリティを高める3つの対策を紹介する。
対策1.機能の制限、無効化
安全なVDIを実現するには、機能をそぎ落とし、企業にとって必要な要素だけに絞り込むことが求められる。エンドユーザーが不要なサービスやネットワークにアクセスできる状態は、重大なセキュリティリスクだ。
例えば、悪意ある従業員が、業務に関する機密データを仮想デスクトップからローカルのUSB外付けドライブに移動する可能性がある。そのためIT管理者は、エンドユーザーが仮想デスクトップからローカルのUSB外付けドライブにアクセスできないようにすべきだ。
コピー&ペースト機能を無効にすることもできるが、業務の生産性を損なう恐れがあるため注意を要する。データの窃盗や移動の防止を強化するには、ホワイトリストやブラックリストを作成し、エンドユーザーが特定のWebサイトにアクセスしたり、特定のメールプロバイダーからメールを受信したりできないようにしなければならない。
仮想デスクトップのマスターイメージを調査し、余計なサービスを提供していないかどうかチェックする必要もある。「Windows」のファイル検索機能や印刷スプーラー(印刷ジョブの管理機能)は、メモリを浪費し、VDIセキュリティを損なう不要なサービスとなる場合が少なくない。
対策2.VDIセキュリティ製品の利用
IT管理者は、ファイアウォールやマルウェア対策製品の利用など、基本的なセキュリティ対策を講じなければならない。マルウェア対策製品には、ハイパーバイザー層でマルウェアの有無をチェックする「エージェントレス型」と、各仮想マシン(VM)で「エージェント」と呼ばれるマルウェア検出プログラムを稼働させる「エージェント型」がある。
マルウェア対策製品が、VDIを構成する各レイヤーを保護対象としているかどうかの確認も重要になる。VDIを構成するレイヤーには、サーバで動作するハイパーバイザーのレイヤーや、VMで動作するゲストOSのレイヤーがある。侵入検知/防止システム(IDS/IPS)などの既存環境にあるシステムの動作に、マルウェア対策製品が干渉しないかどうかも確認しなくてはならない。
インフラについて全体および詳細なビューの両方を確認できる包括的モニタリング製品も、仮想デスクトップを保護する効果的な方法だ。IT管理者は、セキュリティ問題の追跡と防止に適した指標を提供する製品を選択しなくてはいけない。指標の例としては、機密情報あるいはシステムへのアクセス状況、ネットワークアクティビティーの状況を示す指標などがある。
仮想デスクトップは、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)をはじめとするマルウェアの感染を免れるわけではない。VDIセキュリティの向上に役立つマルウェア対策製品の例として、VMware製品を利用している場合は「Sophos for Virtual Environments」「Trend Micro Deep Security」、Citrix製品を利用している場合は「Bitdefender Hypervisor Introspection」が挙げられる。
コラム:「RDP」の保護も忘れずに
仮想デスクトップにリモート接続する手段として、Microsoftの「リモートデスクトッププロトコル」(RDP)を使用する企業は、RDPに存在する脆弱(ぜいじゃく)性「BlueKeep」などのセキュリティ問題に注意を払う必要がある。古いバージョンのWindowsを実行している場合は、なおさらだ。IT管理者は全てのPCについてリモートアクセスが必要かどうかを検討する。
不要なPCに対しては、PCやアカウントを一括で管理する「グループポリシー」を使ってRDPの利用を制限しなければならない。Windowsのディレクトリサービス「Active Directory」の設定管理機能であるグループポリシーを使うことで、エンドユーザーがリモートセッションを確立する際に認証を要求することもできる。
対策3.二要素認証の要求
「二要素認証」(2FA)は、エンドユーザーにパスワード入力と指紋スキャンなど、2種類の異なる認証要素で本人を証明するよう要求する認証技術だ。VDI製品「Citrix Virtual Apps and Desktops」「VMware Horizon」は、いずれも2FAあるいは認証要素を2つ以上要求する「多要素認証」(MFA)を利用できる。
シングルサインオン(SSO)機能を備えるCitrixのゲートウェイ製品「Citrix Gateway」は、MFAによる認証を実現し、クラウドとオンプレミス両方の環境に導入できる。Microsoftのクラウドベースの権限管理ツール「Azure Active Directory」(Azure AD)と連携し、Citrix Gatewayで管理するユーザーをAzure ADでも管理できるようにすることが可能だ。ただし、そのためにはクラウドサービス群「Microsoft Azure」の利用料がかかる。Googleが無料で提供する認証技術「reCAPTCHA」を利用することもできる。
VMware Horizonを運用している場合は、ハードウェアトークンとして暗号アルゴリズム「RSA」を利用する任意の認証デバイスや、ソフトウェアトークンとしてMFA用アプリケーション「Google Authenticator」を利用できる。
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