「5G」による製造業改革【前編】
5Gの“大本命”は製造業 「スマート製造」「産業IoT」にどう役立つ?
「5G」の利用が期待される分野の一つが製造業だ。AI技術や工場に設置するセンサーと組み合わせることで、生産工程を大きく向上させられる可能性がある。
「5G」(第5世代移動体通信システム)は大容量の高速なデータ通信を可能にし、無線ネットワークの安定性とセキュリティの向上に役立つ。こうした5Gの特徴は、製造業の「スマート化」や産業用途のIoT(モノのインターネット)の普及を後押しする可能性がある。
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「ローカル5G」とは何か
「5G」の特徴をおさらい
製造現場で計画外のダウンタイム(システムや機器が停止している時間)や装置の障害、生産工程におけるエラーなどが発生すれば、その影響は決して小さなものではない。物理的あるいは経済的な損失、顧客の不満、サプライチェーンの混乱といった形で負の影響が広がるだろう。製造業がこうしたリスクを避けるためには、5Gを活用する計画を立てることは必然だと言える。
5Gによって、デジタル技術の活用を通じて製造プロセスを変革する「インダストリー4.0」(第4次産業革命)の進展を加速させながら、AI(人工知能)技術をはじめとする最先端の技術を発展させることが可能だ。具体的には、以下のような技術が対象になる。
- ロボット
- コンピュータビジョン(コンピュータが画像や映像を基に情報を認識すること)
- モーションコントロール(機器や装置の動作を制御すること)
調査会社Capgemini Servicesの報告書「5G in industrial operations」(生産工程における5G)によると、製造業の約75%の企業が、5Gをデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みの「要」と位置付けている。
製造業に5Gを取り入れることは、生産工程の変革につながる。情報伝達のスピードを高速にできる上、データの発生する現場でデータ処理をするエッジコンピューティングの活用が可能になるからだ。
5G導入で見込める製造業の改革
製造業は、機器や装置の運用を自動化するPoC(概念実証)に取り組んでいる。これは生産工程の効率化や運用に必要な、データセットの精度向上が目的だ。そのような取り組みでは、製造現場全体で個々の取り組みを連携させることが課題になる場合がある。ネットワークの接続が途切れたり、データ伝送速度が遅かったり、実運用への拡張が困難だったりすることが原因だ。その場合、依然として人の介入を必要とする。
5Gを活用する未来では、生産工程が高度に自動化され、ロボットやネットワークに接続した機器や装置が中央の制御システムの指示によって連携し、生産を最適化する。生産工程において、5Gはコンピュータビジョンやエッジコンピューティングをつなぐ役割を果たす。センサーで取得したデータを、指定した工場のサーバへ高速でデータ転送し、需要の変化を受けた自動的かつ予測的な生産を可能にする。
製造現場に5Gを取り入れることで、下記のような改善が見込める。
- コスト削減
- 生産効率の向上
- 多様な情報を基にした需要への対処
- 容易な製品カスタマイズ
- 製造工程の稼働率と処理能力の向上
- 生産設備の設定の容易化
モニタリングによる効率向上
5Gによって遠隔で製造現場の監視をすることも可能になる。遠隔地の機器や装置の状態をチェックし、異常がある場合に手作業で診断、対処できるようになる。ネットワークに接続したセンサーは、機器の状態を監視して、問題や問題の兆候があればフラグを出すことが可能だ。
カメラとコンピュータビジョンの技術を搭載したドローンを使った点検も有用だ。音を検知するセンサーとAI技術を利用して、問題の兆候となる音の検知もできるだろう。これらの場合、センサーとドローンが中央の制御システムと通信するために、通信容量が比較的大きいLANとして5Gを用いる。WANを使い、必要に応じて遠隔地の拠点にある制御システムと連携させることもできる。
このように製造業が5Gを活用すれば、センサーによって問題を事前に検知することで、製造現場の安全性を担保しやすくなる。人による現場点検を減らして生産性を高め、従業員の時間とリソースをより有効に活用することも可能だ。
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