インテリジェントプロセスオートメーション入門【後編】
次世代RPA「インテリジェントプロセスオートメーション」の3大用途と導入方法
RPAよりも高度な作業を自動化できる「インテリジェントプロセスオートメーション」には、どのような用途があるのか。カスタマーサービスと保険金請求処理、コンプライアンスの3つの用途を説明する。
ソフトウェアロボットを利用して業務プロセスを自動化する「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)ツールが普及しつつある。ただしRPAツールで自動化できるのは、システムで実行される単純な繰り返しの定型作業に限られる。そこで先進的な企業が注目しているのが、自動化システムに機械学習を始めとした人工知能(AI)技術を組み込んだ「インテリジェントプロセスオートメーション」だ。
前編「RPAの進化形『インテリジェントプロセスオートメーション』とは 2つの違いは」に続く本稿では、具体的な使用例を基にインテリジェントプロセスオートメーションの主要な用途と、導入の手順について説明する。
用途1.カスタマーサービスの強化
カスタマーサービスの改善と強化を常に必要としている企業は少なくない。顧客からの問い合わせや依頼を素早く解決することは、重要な課題だ。大規模な組織の場合、さまざまなシステムの間でプロセスと顧客データが分断されやすい傾向があることが、迅速かつ効果的なカスタマーサービスの実現を難しくする。
コールセンターの担当者は、1つの案件を解決するために複数の種類のシステムとデータにアクセスする必要がある。分断されたシステムとデータをつなぎ合わせて、より良いサービスを提供するための手段として、インテリジェントプロセスオートメーションに注目が集まり始めている。インテリジェントプロセスオートメーションは、オンプレミスとクラウドなど複数の環境をまたいだシステムの連結、データの自動処理、コンプライアンス(法令順守)、エラーの削減を支援する。
カスタマーサービスにインテリジェントプロセスオートメーションを活用すれば、単にシステムからシステムへデータを移動するだけでなく、NLP(自然言語処理)機能で顧客の要望の内容を理解することができる。これにより多数のシステムを少数のプロセスに統合し、顧客対応にかかる時間を短縮しやすくなる。
NLP機能を組み込んだソフトウェアロボットを利用すると、メールなどのドキュメントやチャットの会話を読んで理解し、適切なシステムや担当者に素早く取り次ぐことができる。同様に画像処理技術の「コンピュータビジョン」を利用すると、画像やビデオを処理して、それらに含まれる内容を理解し、顧客対応のときに役立つ情報に変換できる。
用途2.保険金請求処理の効率化
保険会社は住宅保険や自動車保険、事業保険など多様な商品を扱う。そのためコールセンターが電話やメールで受け取る問い合わせは大量で、その内容は多岐にわたる。インテリジェントプロセスオートメーションを活用すれば、顧客担当者の業務と保険金請求処理を効率化すると同時に、総合的な顧客体験を向上させることができる。コールセンター担当者が顧客とやりとりする前とその最中、その後に有益な提案をすることも可能だ。
より高度なインテリジェントプロセスオートメーションツールであれば、複数のデータソースの情報を集約して、不足しているデータや誤ったデータを修正し、その結果を1つのストレージシステムにまとめて保存できる。これにより、担当者はデータの整理作業にかかる時間を節約し、より重要な業務に集中できるようになる。
インテリジェントプロセスオートメーションツールは、事故車両の損傷や顧客の全体像を把握して、個別の状況に合った保険金支払い審査をすることにも役立つ。InsurTech(保険と技術の融合)企業のLemonadeは、契約から保険金支払いまでのプロセス全体にAI技術を活用して、融資の決定と返済の処理を迅速化している。
用途3.コンプライアンスの向上
インテリジェントプロセスオートメーションツールの活用は、ガバナンス、リスク管理、コンプライアンス(GRC)の分野でも進んでいる。法制度への準拠や監査証跡の生成を自動化するのに役立つ。個人情報やフォームに入力した情報など、顧客のプライバシーに関連する規制を、システムに適用する用途にも利用できる。
単に定型作業を繰り返すだけのRPAツールによる自動化を脱して、インテリジェントプロセスオートメーションツールによる、よりインテリジェントな自動化にシフトすると、
- 不足しているデータや誤ったデータの自動検出と修正
- プロセスで起こる例外の予測と影響の軽減
- ユーザインタフェース(UI)変更など状況の変化に合わせたプロセス変更
などが可能になる。金融や医療、ライフサイエンスなどの業界では、例えば以下の用途にインテリジェントプロセスオートメーションを活用できる。
- 新製品の市場投入までの時間短縮
- 業務プロセス管理作業の効率化
- 会計監査や業務監査
- マーケティング支援
- 部署間連携の強化
適切に導入を進めるには
企業のIT環境において、インテリジェントプロセスオートメーションツールは今後、強力な役割を果たしていくだろう。さまざまな技術を組み合わせたツールであるため、段階的に導入するのがよい。まずは単純なRPAツールの導入から始めて、データのクリーンアップやプロセス・ワークフローの見直し、タスクの自動化を進める。次にインテリジェントプロセスオートメーションツールを導入し、より高度な業務プロセスを自動化する。データから価値を引き出す必要性への理解が深まるのに従い、インテリジェントプロセスオートメーションツールはますます重要になるだろう。
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インテリジェントプロセスオートメーション入門
AI技術を活用して業務を自動化する「インテリジェントプロセスオートメーション」は、「RPA」よりも複雑な業務プロセスを自動化できる。顧客対応や保険金請求の事例から、その用途とメリット、適切な導入方法を説明する。
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