「職場におけるAI調査」が示す管理者の課題
なぜ日本の上司は「AI」より信用されないのか なぜ職場でAIが使われないのか
日本人の約8割が上司よりロボットを信頼することが調査で分かった。これは調査対象の10カ国平均よりも高い結果だ。一方でロボットの基幹要素であるAI技術の使用率は、調査対象国の中で最も低かった。なぜなのか。
日本企業ではどのくらい人工知能(AI)技術の使用が進んでいるのか。そして従業員はAI技術に何を期待しているのか。日本オラクルが発表した、職場におけるAI技術の利用実態調査の結果によれば、グローバル平均(日本、米国、英国、フランス、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、アラブ首長国連邦、ブラジルの10カ国)では従業員の50%が何らかの形で業務にAI技術を使っている。日本のAI技術使用率は29%(図1)と、グローバル平均を下回るだけではなく、調査対象となった10カ国の中で最も低かった。
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「自身のマネジャーよりロボットを信頼しますか」という設問に「信頼する」と答えた日本の回答者は合計76%だった(注1)。これはグローバル平均より12ポイント高かった(図2)。この結果について、人事(HR)関連技術に詳しい慶應義塾大学大学院の岩本 隆特任教授は「日本の職場ではマネジメントが論理的にされておらず、働き方の効率が悪いことを示唆しているのではないか」と考察。マネジメント能力や適正を評価して昇格するのではなく、年功序列の制度によって管理職に昇格する人事評価の存在が原因ではないかと指摘する。
※注1:「はい、多くの時に」(12%)、「はい、時々」(22%)、「はい、特定の仕事や質問で」(43%)と答えた回答者の総計。
上司とAI、秘密の質問を気軽にできるのはどっち?
「自身のマネジャーよりロボットが優れていることは」という設問については、日本人回答者は「バイアスのかからない情報の提供」(53%)、「仕事のスケジュールのメンテナンス」(47%)を主に挙げている。グローバルの結果はそれぞれ36%、34%だった。
「ロボットより自身のマネジャーが優れていることは」という設問に対して、日本およびグローバルで最も多かった回答は「感情を理解すること」(図3)だ。日本人回答者の割合は47%、グローバルの割合は45%だった。
日本とグローバルで差が出たのは、「ロボットより自身のマネジャーの方がコンフィデンシャル(内密)な質問を恐怖心なしにできる」と答えた回答者の割合だ。日本人の回答率は6%、グローバルは16%(図3)で、10ポイントの差が見られた。岩本氏は「日本企業の従業員はマネジャーへの信頼感が薄いことが浮き彫りになった」と話す。
AIの利用率が低い原因は
岩本氏は「マネジメントへの不信感が、AI技術の潜在的なニーズにつながっているのではないか」と推察する。一方で前述の通り、日本の職場はAI技術の利用率が29%と、グローバルで最下位だった。
AI技術の利用率が低い理由について、日本オラクル執行役員の原 智宏氏は「データの加工やクレンジング作業の負担が原因になっている」と推測する。AI技術によるデータ活用を検討する企業は少なくない。ただし企業が収集して保持しているデータは「AIシステムで分析したり、AIモデルの学習に利用したりするのに適した形式になっていないことがある」と原氏は指摘する。
調査は2019年7月~8月にOracleとFuture Workplaceの委託で調査会社のSavantaが実施し、日本を含む世界10カ国の企業に勤める従業員8370人が回答した。そのうち415人が日本の回答者で、日本企業・団体の従業員、マネジャー、人事部門リーダーを含む。
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