「コンテナエスケープ」の脅威と対策【前編】
Dockerも利用する「runc」に重大な脆弱性 何が危険か? 対策は?
主要なコンテナランタイム「runc」に重大な脆弱性が見つかった。攻撃者がこの脆弱性を悪用すると、コンテナ経由でホストシステムの管理者権限を奪える可能性がある。対策はあるのか。
コンテナ管理ソフトウェアの「Docker」でも利用されている、オープンソースのコンテナランタイム(コンテナの実行に必要なソフトウェア)の筆頭格「runc」に重大な脆弱(ぜいじゃく)性「CVE-2019-5736」が見つかった。runcの開発者は2019年2月にこの脆弱性に対するセキュリティ情報とパッチを公開した。
攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合、攻撃者自身がアクセス権限を持つコンテナを経由して、そのコンテナが稼働するホストシステムにおいて「root」などの管理者権限を取得できるようになる可能性がある。攻撃者が管理者権限を取得すると、システムに対する重要な操作が可能になってしまう。
こうしたコンテナを経由したホストシステムの攻撃は、「コンテナからホストシステムへの脱出」の意味で「コンテナエスケープ」という。コンテナエスケープは、攻撃者が書き込み権限を取得した既存のコンテナの侵害、あるいは改変したイメージファイルを用いた有害なコンテナの作成に悪用される。
セキュリティ担当者にとって、コンテナのホストシステムで悪意あるユーザーによる操作を可能にしてしまうコンテナエスケープを引き起こす脆弱性が広く知られたのは、今回が初めてではない。2016年終盤には、コンテナエスケープにつながる脆弱性「CVE-2016-9962」に関する情報が公開された。この脆弱性もruncによるホストシステムの操作に影響を及ぼすもので、コンテナやコンテナイメージへのアクセス権限を持つ攻撃者によるコンテナエスケープを可能にする恐れがあった。
具体的な対策は
「ユーザー名前空間」を適切に使用すれば、今回の脆弱性を悪用した攻撃に対処できる可能性がある。「Linux」には複数のプロセスをグループ化して、グループごとに隔離された環境を作る「名前空間」という仕組みがある。その一種であるユーザー名前空間を使うと、プロセスを実行するユーザーについて、名前空間の内外で異なる識別子(UID)を持たせ、それぞれのUIDを互いにひも付けることができる。この仕組みを使うと、コンテナの名前空間内では管理者権限を持つユーザーでも、ホストシステムでは一般的な権限しか持てなくするといったことが可能になる。
「Fedora」など一部のLinuxディストリビューションで利用できる、「AppArmor」「SELinux」(Security-Enhanced Linux)といった「セキュアOS」も、条件付きながらこの脆弱性の対策となり得る。セキュアOSは、管理者権限を細分化する「最小特権」と、管理者権限を持つユーザーに対してもアクセスを制限する「強制アクセス制御」を実現するセキュリティ機能だ。「Red Hat Enterprise Linux」「Red Hat OpenShift」などSELinuxを利用可能なシステムでは、強制アクセス制御を可能にするSELinuxの「Enforcingモード」を利用していれば、この脆弱性を悪用した攻撃の被害を軽減できる可能性がある。
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「コンテナエスケープ」の脅威と対策
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