モバイル管理システムの進化
「MDM」から「EMM」、そして「UEM」へ 歴史から学ぶデバイス管理の進化
クラウドサービスやモバイルデバイスの普及、セキュリティリスクの増大などが、デバイス管理システムを進化させてきた。「MDM」製品から「UEM」製品への進化の歴史を振り返る。
従来の「モバイルデバイス管理」(MDM)製品を依然オンプレミスで運用している企業は少なくない。だがそうした企業の間では、より多機能な「統合エンドポイント管理」(UEM)製品に移行する動きがある。UEM製品のクラウド移行が進んでいることが、その背景にある。
さまざまな種類のデバイスを単一コンソールで管理できるUEM製品は、ITリソースを合理化するニーズに合致している。ユーザー企業にとっては、「Android」や「iOS」などのモバイルOSを搭載するスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスに特化した管理製品を用意する必要がなくなる。
Microsoftなどの従来型PC管理ベンダーが、積極的にUEM製品を販売している。これはCitrix SystemsやVMwareといった企業が、デバイスを問わずにアプリケーションやデータを利用できるようにする「デジタルワークスペース」製品にUEM製品の基本機能を搭載するようになったのと同じだ。
モバイルデバイスは、セキュリティが以前よりも大きな問題になっている。モバイルデバイスで企業アプリケーションを利用する機会が増え、より多くのデータを内蔵するようになっているためだ。
モバイルデバイスが促したデバイス管理製品の進化
2000年代初頭、企業の間ではモバイルデバイスは単なる厄介者でしかなく、経営陣の要望によりサポートせざるを得ないものだと考えられていた。事実、スマートフォン「BlackBerry」は当時、ITの知識を持たないスタッフにセットアップされ、エンドユーザーのPCからメールを転送するためだけに使用されていた。今日の基準に照らすと、これはセキュリティの観点からは恐ろしいことだ。だが、このようなことは往々にして見過ごされていた。
数年後、BlackBerryの大幅な改善により、企業は歴史あるMDM製品の一つ「BlackBerry Enterprise Server」(BES)を導入する必要に迫られた。BESは時代に先駆けて、BlackBerryのセキュリティを確保する何百種類ものポリシー設定を管理する機能を備えていた。
BlackBerryがその地位を失ったときに大きな問題が持ち上がった。それは複数種類のデバイスをどう管理するかという課題だ。2007年に誕生したAppleのスマートフォン「iPhone」が非常に高い人気を博したことで、企業は新たな難局を迎えることになった。Android搭載デバイスの人気が出てくると、管理のニーズがさらに複雑になり、デバイス管理はますます問題になった。
その結果、複数のOSやデバイスを管理できるクロスプラットフォームのMDM製品を提供する多くの新興ベンダーが誕生した。だが初期ベンダーの多くは他ベンダーに買収された。こうしたベンダーにはGood Technology、XcelleNet、Zenprise、Trust Digital、Nukona、AirWatchなどがある。Good TechnologyはBlackBerryに、XcelleNetはSybaseに、その後SybaseはSAPに、ZenpriseはCitrix Systemsに、Trust DigitalはMcAfeeに、NukonaはSymantecに、AirWatchはVMwareにそれぞれ買収されている。MobileIronは今でも独立したベンダーとして存続している。
当時MDM製品の主な用途は、会社メールの確認に使うモバイルデバイスを管理することだった。MDM製品の機能はモバイルデバイスと同様にやや原始的だった。幾つかのポリシー設定とデバイスの紛失/盗難時にリモート操作でデバイスのデータを消去したり、画面をロックしたりする機能を提供することで一定の資産管理を実現していた。
モバイルデバイスがより高度な知的活動を支えるデバイスへと成熟するにつれ、ベンダーはMDM製品に多くの機能やアプリケーションを追加していった。例えば「モバイルアプリケーション管理」(MAM)、セキュアなメールクライアントやWebブラウザ、VPN(仮想プライベートネットワーク)、暗号化サービス、「Microsoft Office」と互換性のあるクライアントアプリケーションなどだ。
MDM製品よりも複雑な機能を備える「エンタープライズモビリティー管理」(EMM)製品のおかげで、企業はモバイルデバイスの管理やセキュリティの確保を実現しやすくなった。だがEMM製品で管理できるのは基本的にはスマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスのみで、企業がコンピューティングリソースを集中的に使用する上で欠かせないWindows搭載PCを管理できるEMM製品は限られていた。
スマートフォンは身近な存在で、企業が所有するPCよりも台数が多い可能性がある。企業はそのスマートフォンを管理するためだけにユニークな管理製品を用意することを望んでいない。企業はモバイルデバイス用とその他のデバイス用に一つずつデバイス管理製品を用意する必要のない、普遍的なデバイス管理製品を望むようになった。
UEMの世界
SAP、Oracle、Salesforce(salesforce.com)、Microsoft、IBMといった主要なバックオフィスアプリケーションベンダーや、PC・サーバ管理ベンダーが自社製品にUEM機能を盛り込むようになっている。「Microsoft Intune」はその一例だ。ただし専業ベンダーが提供しているUEM製品ほど完成度が高いわけではない。
UEM製品などのデバイス管理製品を取り巻く動向として無視できないのが、クラウドサービス化の動きだ。クラウドサービスの従量課金制が魅力的に写る企業は少なくないだろう。企業はデバイス管理システムをオンプレミスからクラウドに移行することで、設備投資モデルから運用コストモデルに切り替えることができる。
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