「Windows 10X」に期待?
画面が折り曲がるフォルダブルPC「ThinkPad X1 Fold」は実用的なのか?
Lenovoが「CES 2020」で、ディスプレイを折り畳めるフォルダブルPC「ThinkPad X1 Fold」を正式発表した。併せて登場した「ThinkPad X1 Carbon」「ThinkPad X1 Yoga」の新モデルとともに、その実力を評価する。
Lenovoは2020年1月に開催された電化製品の展示会「CES 2020」で、「世界初のフォルダブルPC」と銘打つ「Lenovo ThinkPad X1 Fold」(写真1)を発表した。フォルダブルPCは、折り曲げられるディスプレイを持つPCのことだ。ThinkPad X1 Foldがディスプレイを折り曲げられる「Windows 10」搭載デバイスであることは確かに重要だが、それよりも注目すべきことがある。ディスプレイを折れ曲げられる上に堅牢(ろう)であり、「ThinkPad」のブランディングに合っていることだ。
ThinkPad X1 Foldが搭載する有機EL(OLED)ディスプレイは、解像度が2048×1536ピクセル、アスペクト比が4:3、サイズが13.3型。フォームファクター(形状や大きさ)はタブレットに分類できる。
LenovoによるとThinkPad X1 Foldは、Windows 10の小規模組織向けエディション「Windows 10 Pro」で動作する。本稿執筆時点でプロセッサは「Intel Core processor with Intel Hybrid Technology」(開発コードネーム「Lakefield」)を搭載することしか分からない。モバイルデバイス向けDRAM規格「LPDDR4X」に準拠したメインメモリは8GB、ストレージはPCIe(PCI Express)接続とNVMe(Non-Volatile Memory Express)接続のフラッシュストレージで、最大1TBだ。
インタフェースは、USB Type-Cポートを2基(充電とディスプレイ用)とSIMカードスロットを備える。通信機能は、無線LAN規格「IEEE 802.11ax」を基にした「Wi-Fi 6」と「Bluetooth 5.0」に準拠する。
フォルダブルPCに実用性はあるのか
OLEDディスプレイはLG Displayが供給しており、素材に曲げられるフレキシブルなプラスチックを採用している。このディスプレイは発色が鮮やかで、付属のスタイラスペンは内部に電子回路を埋め込んでおり、自然な書き心地で使える。
ThinkPad X1 Foldはしっかりした剛性がある半面、他の多くの13.3型ディスプレイのノートPCよりも厚く、重量も999グラムと重い。これはディスプレイとデバイス本体の耐久性を高めるために、デバイス構造を強化したためだ。Lenovoはこの構造を「マルチリンクトルクヒンジメカニズム」と呼ぶ。
それでもThinkPad X1 Foldは決して大きくはない。折りたたむとハードカバーの本くらいの大きさだ(写真2)。バックパックに入れたり、数分持ち歩いたりすれば、そのデザインの魅力がすぐ分かる。
ディスプレイは簡単に開閉でき、最大180度まで好きな角度で開いて使用できる。背面はレザー調のカバーで保護されており、このカバーにはペンホルダーもある。カバーはスタンドにもなり、本体を横向きで立て掛けることができる。
ThinkPad X1 FoldにはBluetoothキーボード(写真3)が付属する。このキーボードにもデザイン上の工夫が施されている。ディスプレイを折り曲げてキーボードをディスプレイの下半分に載せると、マグネットで固定されて従来型のノートPCのように使える。キーボードを挟んで折りたたむと、半分のディスプレイとディスプレイの間にキーボードがぴったり収まるようになっている。
キーボードは比較的小さく、ごく短時間のタイピングにしか向かない。トラックパッドも同様で狭苦しい。最大の不満はWindows 10 Proだ。このOSのせいでThinkPad X1 Foldは使いづらい点がある。Windows 10 Proはこのマシンのデザインを考慮して作られていないからだ。
従来型ノートPCのように使う場合、タスクバーはディスプレイ中央の折れ目(ディスプレイの上半分の最下部)に表示されるのではなく、依然としてディスプレイ全体の最下部に表示され、キーボードに隠れて見えない。Lenovoは、この問題の解決をユーザーのカスタム操作に委ねようとしている。具体的には、ユーザーがキーボードショートカットで画面を分割することを想定しているが、これはユーザーにとっては面倒な解決策だ。
Lenovoは「Windows 10X」を搭載するThinkPad X1 Foldも、2020年中にリリースする計画だと明かしている。Windows 10Xは、Microsoftが2つのディスプレイを備えたデュアルディスプレイデバイス向けに投入するWindows 10の新エディションだ。Windows 10X搭載のThinkPad X1 Foldでは、フォルダブルPCとしての使い勝手が向上することを期待したい。
Windows 10 Pro搭載のThinkPad X1 Foldは、2020年半ばに2499ドルからで発売される見込みだ。この価格と、現状のWindows 10がフォルダブルPC向けには作られていないことを考え合わせると、このThinkPad X1 Foldは新製品をいち早く購入するアーリーアダプター向けだ。だが、その仕上がり品質とフォルダブルディスプレイの印象的な魅力からすると、ビジネスユーザーはフォルダブルPCを意外と早く受け入れる可能性もある。
ThinkPad X1 CarbonとThinkPad X1 Yogaの新モデルも発表
Lenovoは、フラッグシップ(旗艦)モデルの第8世代「ThinkPad X1 Carbon」と第5世代「ThinkPad X1 Yoga」(写真4)も発表した。
これらの新製品は現行の最新機種と似ており、いずれも14型ディスプレイを搭載する。新しいのは、いずれもプロセッサがIntelのプロセッサ「Core」シリーズの第10世代、ストレージがPCIe接続のフラッシュストレージで、最大2TBとなっている点だ。
新たにキーボードレイアウトを改良。「F9」から「F11」キーでVoIP(Voice over Internet Protocol)アプリケーションを素早く利用することが可能になった。
第8世代ThinkPad X1 Carbonは1499ドルから、第5世代ThinkPad X1 Yogaは1599ドルからとなっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー