地上にはないリスクを想定
「衛星IoTネットワーク」とは? 宇宙で通信する意味と、地上にはない問題
地上でどのようなネットワークでも直面する問題として、ハードウェアの老朽化がある。宇宙空間にある人工衛星を使った「衛星IoTネットワーク」を構築する場合、どのような問題が発生するのだろうか。
宇宙空間に人工衛星を飛ばして地上のネットワークと接続し、IoT(モノのインターネット)ネットワークを運用する――。こうした「衛星IoT」は、人工衛星が地球にないからといってサイバー攻撃やハードウェア故障といったリスクを免れるわけではない。衛星IoTのネットワークの信頼性は、宇宙空間で生じる課題にどのように対処できるかに懸かっている。
衛星IoTネットワークは、下記の課題を抱える可能性がある。
- 人工衛星の老朽化
- 人工衛星の物理的破損
- 電源喪失
- ネットワーク外部からの攻撃
宇宙空間にある衛星IoTネットワーク用の人工衛星が老朽化して交換しなければならないときは必ず来る。その場合は人工衛星を交換するための資金と、新しい衛星を軌道に乗せるためのブースターなどが必要になるだろう。衛星IoTネットワークのダウンタイム(停止時間)を発生させないためには、現行の人工衛星の寿命が来る前に代替の人工衛星を打ち上げる必要がある。人工衛星発射の準備や人工衛星の製造にかかる時間を考慮に入れてスケジュールを組まなければならない。IoTネットワークの安定した接続性を保証するためには、予備となる人工衛星を打ち上げることも必要になるだろう。
地上のネットワークにはない「衛星IoTネットワーク」のさまざまな問題
宇宙空間ではさまざまな不測の事態が発生する可能性がある。例えばバッテリーや太陽電池の故障があり、確率は低いと考えられるが宇宙ごみとの衝突による人工衛星の破損も起こる可能性がある。こうした事態にどのように対処するかも衛星IoTネットワークを運用する上での重要な課題になる。
人工衛星を確実に制御する上では、地上と宇宙空間の間のデータ転送が干渉されたり、侵害されたりする脅威を避けなければならない。サイバーセキュリティをどのように確保するかという点が大きな課題になる。
通信路容量(帯域幅)を増やさなければならない場合は、人工衛星の設計見直しやアップグレード、交換が必要になる。この際にネットワークインタフェースを共通化しておく必要がある。ネットワークインタフェースが共通化されていなければ、ハードウェアの更新や交換を実施したとしても、狙い通りにネットワークの性能を高められない可能性があるからだ。宇宙空間にある人工衛星と地上のネットワークが安定的に通信するためには、地上では通信用の基地局を広大なエリアに分散させて設置する必要がある。
問題はこれ以外にもある。人工衛星の製造や打ち上げ、ネットワークインタフェース規格の策定、地上の基地局の設置や、IoTネットワークの運用にかかるコストを誰が負担するのかという問題だ。
現在の人工衛星は信頼性の高い通信手段を備えている。宇宙空間に人工衛星を飛ばして衛星IoTネットワークを構築できれば、信頼性の高い通信で遠隔地のデータ収集やデータ転送を実現できるだろう。低消費電力のWANを使い、必要な帯域幅を確保しつつ電力消費を抑制することも、衛星IoTネットワークを構築する上では重要になる。
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