2つの鍵交換方式【後編】
鍵交換アルゴリズム「Diffie-Hellman」「RSA」が使われる暗号化通信とは?
暗号化通信に使用される代表的な鍵交換アルゴリズムが「Diffie-Hellman方式」(DH法)と「RSA方式」だ。それぞれの方式がどのような場面で使われているのかを紹介する。
暗号化通信のための鍵を安全に交換するには「鍵交換アルゴリズム」を利用する。代表的な鍵交換アルゴリズムが「Diffie-Hellman方式」(DH法)と「RSA方式」(Rivest-Shamir-Adleman)だ。DH法およびRSA方式の違いを説明した前編「鍵交換の2大アルゴリズム『Diffie-Hellman』『RSA』 何が違い、どちらが安全?」に続き、これらの鍵交換アルゴリズムが用いられる場面と、それぞれの場面でどちらの方式が適しているのかを解説しよう。
DH法か、RSA方式か
「どちらが優秀か」という観点で見ると、それぞれの鍵交換アルゴリズムには長所と短所があり、適切な使い方がある。さまざまな暗号化方式がこの2つの鍵交換アルゴリズムのうちいずれかを選べる仕組みを持っている。例えばインターネット通信の暗号化プロトコル「SSL」(Secure Sockets Layer)のバージョン3.0では、使用する鍵交換アルゴリズムを選択できる。SSLサーバ証明書を使用して暗号化通信をする場合はRSA方式を用い、SSLサーバ証明書を使用せずに暗号化通信をする場合はDH法を用いる、といった具合だ。
DH法の利用シーン
DH法は「秘密鍵と暗号化された通信の両方が漏えいしても復号されない」という性質である「前方秘匿性」(Perfect Forward Secrecy:PFS)を実現できる。PFSを実現するにはセッション(通信の開始から終わりまでの単位)ごとに鍵を生成する必要がある。DH法は高速に鍵を生成できる特徴によってセッションごとの鍵の生成が可能になる。DH法は、長期にわたって保存する必要のないデータのやりとり、別のコンピュータへのリモートアクセス、暗号化されたメールの送信などに使用される。
RSA方式の利用シーン
さまざまな暗号化通信でRSA方式が利用されている。WebブラウザはRSA方式を使い、インターネット通信やセキュリティが確保されていないWANを介した通信において安全な接続を確立する。メール、VPN(仮想プライベートネットワーク)、チャットなども通信の暗号化にRSA方式を用いている。暗号化プロトコルの「TLS」(Transport Layer Security)における「ハンドシェイク」(目的とするデータのやりとりを実施する前に通信を確立させるために交わされる通信)にもRSA方式を使うことが一般的だ。
RSA方式は他の暗号化方式と組み合わせたり、デジタル署名で使われたりすることも少なくない。一方でメッセージやファイル全体の暗号化には使用されない。RSA方式は暗号化と復号で異なる鍵(非対称鍵)を用いるため、暗号化と復号で同じ鍵(対称鍵)を用いる方式よりも多くの計算が必要になり、効率が劣るからだ。ただし、RSA方式は対称鍵を暗号化する際の鍵交換アルゴリズムとして利用されることもある。この場合は、RSA方式の秘密鍵を持つ当事者のみが対称鍵の復合が可能になる。
DH法とRSA方式はそれぞれ固有の特性や複雑さを備えるため、一緒に用いることは難しい。ほとんどの暗号化通信では、これらを組み合わせるのではなく、そのどちらかを選ぶようになっている。この2つの鍵交換アルゴリズムは、独立していて相互に依存しないという重要な性質を持つことを覚えておくとよいだろう。
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2つの鍵交換方式
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