パンデミックに対するネットワークの備え【前編】
新型コロナウイルスで脚光 「テレワーク」を止めないネットワークの条件とは
パンデミックや災害は突然発生する。テレワークを実施する必要が生じる際、ネットワーク面ではどのような問題を考慮する必要があるのだろうか。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が引き起こしたようなパンデミック(感染症の世界的な大流行)が起こると、企業ではウイルス性疾患にかかった従業員から病欠の連絡が相次ぐ恐れがある。こうした事態を避けるため、また従業員が仕事を再開できる程度にまで回復した場合に備える手段として、テレワークは有効だ。従業員が遠隔地から必要なデータや社内のネットワークにアクセスできる体制を整えることが重要になる。
パンデミックに備えるネットワークの条件
自社リソースへのリモートアクセスを容易にするために最も広く使われているテクノロジーは依然として「VPN」(仮想プライベートネットワーク)だ。テレワークを取り入れている企業では一般的に、全従業員のうち10~20%程度が一度にテレワークを実施する。その程度であればリソースへのアクセスが急増して問題になるケースは多くはない。
感染症対策など慎重を期す場合は、経営陣が従業員の大半または全員に在宅勤務を命じることがある。そうなるとネットワークの負担が急増し、機能が停止したりスループット(データ伝送の実効速度)が低下したりする可能性がある。
新型コロナウイルスによるパンデミックでも、テレワーカーによるネットワークの通信路容量(帯域幅)の利用増がネットワークの運用管理における課題になる。これは2009年に新型インフルエンザA(H1N1)が世界で大流行したときと同様だ。ネットワーク管理者は突発的な帯域幅の需要に対処するため、必要なネットワークを用意することが欠かせない。
ネットワーク担当者は、できる限り早く以下の点を検討する必要がある。
- リモートアクセスが必要なエンドユーザー数は最大で何人か
- テレワークを実施した場合にどれだけの帯域幅が必要か
- 必要なだけの帯域幅をいつまでに用意するか
- 帯域幅を増強するのにどれだけの時間がかかるか
- 帯域幅の増強にどれだけのコストがかかるか
- コスト効率良く帯域幅を増強するために利用可能なテクノロジーは何か
- どのようなサイバーセキュリティの脅威に対処する必要があるか
- データ通信のセキュリティ対策をどう講じるか
- どのような方法でネットワークのトラフィックを監視するか
- リモートアクセスの需要が通常レベルに戻るとき、どのように帯域幅を元に戻すか
- リモートアクセス用に通信事業者やインターネットサービスプロバイダー(ISP)はどのようなサービスを提供しているか
導入が進むテレワーク制度
カメラなどのビデオ会議用デバイスを提供するOwl Labsが公開した調査結果「2019 State of Remote Work Report」によれば、テレワークの制度を取り入れる米国の企業は着実に増えている。同調査結果は以下のような統計データを示す。
- 米国の従業員がフルタイムでテレワークを実施する頻度は世界平均よりも約66%高い
- 米国の従業員がテレワークを実施する割合は、月に1回以上実施が約54%、週に1回以上実施が約48%、定常的に実施が約30%
- 米国では現場に通勤する幹部よりも、テレワークで働く幹部の方が18%多い
- 米国での業界別のテレワーク実施率は、ヘルスケアが約15%、テクノロジー/インターネット関連が約10%、金融サービスが約9%、教育が約8%、製造が約7%
- 米国での部門別のテレワーク実施率は、総務・設備管理・ITが約18%、カスタマーサポート・カスタマーサービス・カスタマーサクセスが約14%、営業が約13%、経営管理が約11%
企業がテレワークのメリットを認識する中で、その実施率は着実に高まっている。ただしパンデミックや自然災害などの緊急事態に備えて適切な計画を立てて実行しなければ、テレワーク戦略が混乱を招く恐れがある。
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