新型コロナ対策中の企業の取り組みを紹介
「テレワーク」の端末データ保護策はオフィスと何が違う? 事例に学ぶ
テレワークが企業の間で広がる中、テレワークに利用するエンドポイントのデータをいかに保護すべきか。具体策と課題を紹介する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は、企業にテレワークの実施を促している。テレワークの普及に伴って従業員の働き方が変わると、事業継続性計画(BCP)を変更しなければならなくなる企業もあるだろう。BCP見直しの一環として考慮すべきなのが、クライアントデバイスやサーバといったエンドポイントで扱うデータの保護だ。
併せて読みたいお薦め記事
さまざまなエンドポイントセキュリティ
新型コロナウイルスとセキュリティ
MDL(「MDL autoMation」の名称で事業展開)は、自動車販売代理店向けの自動車追跡用ソフトウェアベンダーだ。同社は約250社の販売代理店の情報を格納するデータベースを有し、IoT(モノのインターネット)デバイスが収集する1.4TBのデータを管理している。
従業員が出社できなくなった場合に備え、MDLは現状のBCPが機能するかどうかを検証した。検証対象には従業員のノートPCにインストールしたCarboniteのバックアップ製品やDellのデータ暗号化製品、Absoluteの端末紛失時のデータ保護製品などのエンドポイント保護製品が含まれる。
オフィスと変わらない働き方を実現するために、変えるべきデータ保護策
従業員全員がオフィスで勤務している場合「このレベルのエンドポイントデータ保護はほぼ必要ない」と、MDLでITインフラの管理者を務めるエリック・グートマン氏は説明する。長い間、従業員が出社できないことを前提とすれば、必要な対策は変わってくるというわけだ。
グートマン氏によると、MDLはVPN(仮想プライベートネットワーク)やMicrosoftの「リモートデスクトッププロトコル」(RDP)を利用する準備を既に整えている。テレワークの実施と高度なエンドポイント保護は一時的な対処策として設計したという。「全従業員がオフィスで働いているかのようにテレワークを実施できれば、当社は機能し続けることができるだろう」と同氏は話す。
さまざまな業務環境の考慮
「企業が一度導入したエンドポイントのデータ保護策を元に戻したいと望むことは、恐らくないだろう」と話すのは、企業ITのコンサルタントを長らく務めているマーク・シュタイマー氏だ。エンドポイントのデータ保護には位置情報の収集やリモートワイプ(遠隔操作によるデバイスのデータ削除)など、サーバのデータ保護とは異なるセキュリティ対策が必要になる。こうした対策をまだ講じていない企業は、時間と費用をかけてそのような対策を用意することになるだろう。そして「その後も、そうしたセキュリティ体制を維持したいと考える可能性が高い」とシュタイマー氏はみる。
シュタイマー氏は、仮想デスクトップインフラ(VDI)を使用している企業は「ノートPCのバックアップについて懸念する必要はない」と主張。データを大量に使用しないのであれば、従業員全員がクラウドサービスを使って業務を遂行できるという見解を示す。現在はネットワークの回線容量(帯域幅)の拡充が進み、かつてテレワークの障害になっていたハードルが解消されつつあるためだ。
「Office 365」や「Googleドキュメント」などのSaaS(Software as a Service)と、「OneDrive」「Dropbox」などのストレージ同期サービスは、テレワーク環境の構築を支援する。技術調査を手掛ける451 Research(調査会社S&P Global Market Intelligenceが買収)でシニアアナリストを務めるスティーブン・ヒル氏によると、テレワークの実現で難しいのは「クラウドにあるデータやシステム全てをオンプレミスと同様に保護すること」だ。エンドポイントのデータ保護とは異なり、クラウドにあるデータやシステムの保護には、クラウドベンダーが提供するツールだけでなく、BackblazeやCloudAllyなどのサードパーティーが提供する製品も選択肢となる。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行は「全ての従業員が1つの場所で働く必要がないことを企業に気付かせた」とシュタイマー氏は語る。「さまざまな企業にとって、新型コロナウイルス感染症はなすべきことを実施する推進力になり、働き方を恒久的に変えるだろう」(同氏)
自宅では業務を遂行できない従業員を抱える企業もある。工業分野向けの診断装置メーカーKCF Technologiesは、エンドポイントのデータ保護に取り組んでいる。同社で主任インフラアーキテクチャを務めるマイロン・セマック氏によると、同社はクラウドを中心に据え、従業員がどこからでも作業できるようにしている。だが同社自体や同社の顧客企業が都市封鎖(ロックダウン)の影響を受けると、業務の遂行は難しくなる。センサー製品を製造できなくなるだけでなく、現場での設置やプロジェクトを中断せざるを得なくなるためだ。こうした課題はITでは解決できない。「当社の製造ラインで働く従業員は、自宅では作業できない。彼らが自宅にとどまることを余儀なくされたら、製品の製造や出荷に影響が生じるだろう」とセマック氏は懸念する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
BMWも導入 78兆円市場に化ける「フィジカルAI」の衝撃
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー