「COVID-19」で変わるデバイス管理【前編】
新型コロナが「私物Apple端末は管理しなくてよい」という“常識”を変える?
新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、テレワークの必要性が一気に高まった。働き方の変化は、デバイス管理の在り方にも影響を与え始めている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大のために在宅勤務を強いられた企業の従業員は、PC、スマートフォン、タブレット、スマートスピーカーなど、会社支給と個人所有のさまざまなインターネット接続デバイスを使って仕事をこなしている。注意すべきは、利用するデバイスの種類が増えるほど、企業のセキュリティはより多様な脅威にさらされる点だ。
テレワークではApple製品も管理が必要
COVID-19が広がる世界では、「統合エンドポイント管理」(UEM)製品などデバイスを管理する手段の導入を検討することが課題になる。UEM製品はさまざまな種類のデバイスを単一の画面で管理できる。LANやWANといった企業ネットワークに接続していないデバイスのセキュリティ対策を講じることが可能なUEM製品もある。
「世界の労働力の多くがテレワークに移行する中で、エンドポイントセキュリティの重要性はかつてなく高まっている」。調査会社Forrester Researchでアナリストを務めるクリストファー・シャーマン氏はそう語る。ほとんどの場合、企業はデバイスやネットワークなどテレワークに必要なリソースを迅速に従業員に対して提供することを優先する。こうして「攻撃されるポイントを増やし、リスクを露呈させてしまう」とシャーマン氏は指摘する。デバイスを追加すれば、サイバー犯罪集団にとっては攻撃経路が増え、チャンスが増大するということだ。
攻撃者がパンデミック(感染症の世界的な大流行)の混乱に付け込んで、従業員のデバイスを狙う攻撃が広がる動きが既に見られるという。「人と人を隔離させる措置が続く中で、この動きは増大するだろう」とシャーマン氏は予想する。
コンサルティング企業のEnterprise Strategy Group(ESG)でアナリストを務めるマーク・ボウカー氏によると、モバイルデバイスの利用やテレワークへと向かうトレンドは「iPhone」が登場した時から生じていた。モバイルデバイスを業務に利用することで会社のデータを扱う「境界」が拡張し、企業のIT管理者は新たなセキュリティ対策を迫られている。
ESGがフルタイムで働く従業員に対して実施した調査によると、回答者の約74%は「オフィス以外の環境で1週間に1回以上、少なくとも一部の仕事をしたことがある」と回答した。「仕事がある週は毎日オフィス以外の環境で業務を実施している」という回答は50%に達した。同調査が対象にしたのは、販売、マーケティング、人事、会計、IT、エンジニアリング、ソフトウェア開発、顧客サービスといった業務に従事する従業員だった。
従業員はどこにいても生産的であることを期待されるようになってきた。こうした中で従業員がアプリケーションとデータを安全に扱える機能を実装してきた組織は少なくない。一方で新たな課題も浮上している。ボウカー氏は「まずは現存するセキュリティ対策を迅速に拡張させることが求められている」と指摘。セキュリティリスクの高いエンドユーザー、とりわけ既存のネットワークやデバイスで仕事をしなくなったエンドユーザーのセキュリティ確保の必要性を訴える。
通信機器メーカーBlackBerryのアレックス・ウィリス氏も「モバイルデバイスを業務に利用することが主流になった」と同調する。ロックダウン(都市封鎖)を実施している地域で、従業員はさまざまなデバイスを使いながら自分の仕事をこなす必要がある。この状況において組織が直面する問題について、ウィリス氏は「これまでモバイルデバイスで仕事をしていた従業員以外に対しても、適切なテレワークの環境を用意しなければならないことだ」と語る。自宅で仕事をしたことのなかった従業員もすぐに在宅勤務をしなければならなくなり、ホームオフィスを迅速に整える必要が生じている。
Apple製デバイスの管理機能をクラウドサービスとして提供するAddigyの創業者兼CEO(最高経営責任者)、ジェイソン・デットバーン氏は「モバイルデバイスの流行が始まった当初から、デバイス管理製品に対する需要は増大していた」と語る。一方で私物デバイスの業務利用(BYOD)を認める企業の中には「Apple製品のデバイス管理は不要だ」と考える企業もある。COVID-19が広がる今、「IT管理者は業務に使用するデバイスを適切に管理できているかどうかを確認する必要性に迫られている」とデットバーン氏は言う。
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