いまさら聞けない「UEM」とは? 「MDM」や「EMM」との違いを比較新人IT担当者でも分かる「統合エンドポイント管理」(UEM)【第1回】

「UEM」製品とは何かを理解するには、「MDM」製品や「EMM」製品との違いを整理することが先決だ。その上で製品の成り立ちや必須機能に注目することが重要になる。

2019年12月23日 05時00分 公開
[田北幸治アイ・ビー・シー]

この連載について

「統合エンドポイント管理」(UEM)製品という製品分野が一般的な存在になりつつあるが、UEM製品について正確に説明できる人はそう多くない。このシリーズは新人のIT担当者に向けて、UEM製品の定義から成り立ち、主要ベンダーとその特徴、選定方法などを複数回に分けて解説する。


 「統合エンドポイント管理」(UEM)製品とは何か。それを説明する前に、「エンドポイント」の定義を確認しよう。エンドポイントとは、企業または団体のネットワークに接続し、主にエンドユーザーが利用するデバイスの総称だ。具体的にはPCやタブレット、スマートフォンなどのデバイスを指す。従ってUEM製品とは、これらのエンドポイントを一元管理できる製品のことだ。

 エンドポイントを管理する製品として「モバイルデバイス管理」(MDM)製品や「エンタープライズモビリティー管理」(EMM)製品などもある。それらとの違いを整理しながらUEM製品について解説する。

 日本の歴史を振り返ると、1980年代からPCが一般的に業務利用され始め、それらを管理する製品として「クライアント管理製品」(もしくは「IT資産管理製品」)が使われるようになった。当時はエンドポイントという言葉もなく、エンドユーザーが利用し、かつネットワークにつながるエンドポイントといえばPCしかない時代だった。

MDMからEMMへ

 2010年にAppleがタブレットの「iPad」を発売すると、これを業務利用しようとする動きが現れるようになった。さらに当時のiPadと同じAppleのモバイルOS「iOS」搭載のスマートフォン「iPhone」や、GoogleのモバイルOS「Android」搭載のスマートフォンなども同様に業務利用されるようになった。これらは、PCとは全く異なるアーキテクチャであり、かつ個人利用を想定したエンドポイントだった。主に組織利用のPCを想定した従来のクライアント管理製品は主にWindowsのみを対象としていたため、これらの管理が困難で、専用の管理製品が必要になった。そうして登場したのがMDM製品だ。

 MDM製品の管理対象となる範囲は、ハードウェア情報収集、ソフトウェア情報収集、ロック、ワイプ(データ消去やリセット)、利用制限、位置情報トラッキングなどだった。ここにアプリケーションの配布ができる「モバイルアプリケーション管理」(MAM)製品や、ファイルの配布ができる「モバイルコンテンツ管理」(MCM)製品が登場。MDM製品にMAM製品やMCM製品の機能を組み合わせたスイート製品が、EMM製品と呼ばれるようになった。

 EMM製品の導入は進んでいるものの、現状ではEMMという言葉は十分に普及しているとは言えない。EMM製品をいまだに「MDM製品」と呼んでいる人も少なくない。

UEMへと発展した「2つの流れ」

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

市場調査・トレンド 横河レンタ・リース株式会社

PC運用管理者1030人に聞いた「PC運用の実態調査」、担当者を悩ます課題と解決策

近年の情報システム部門は多数の業務を抱えており、中でもPCの運用・管理担当者の業務負荷をいかに軽減するかが大きな課題となっている。1030人を対象に行った調査をもとに、PC運用・管理業務のあるべき姿を探った。

事例 Asana Japan株式会社

“208カ国の壁”を突破しスズキが残業35%減を実現、その全貌とは

“100年企業”スズキでは、DX推進のアクションプランに、「仕事のシンプル化」「ムダの削減」「全社的な可視化」を挙げている。同社はあるツールを導入したことで、業務の見える化や標準化、残業時間の35%削減を実現したという。

製品資料 SUSE ソフトウエア ソリューションズ ジャパン株式会社

システム乱立やコスト増の課題も、マルチLinux環境の運用をどう効率化する?

企業では「マルチLinux」環境が有効な取り組みとして浸透しているが、一方で管理の複雑化という課題も浮上している。本資料ではマルチLinux環境が浸透してきた背景やその利点を整理し、新たな課題の解決策について解説する。

製品資料 株式会社エクサ

AI時代のデータ管理術、低コストかつセキュアな環境を構築するための方法とは?

 デジタル化やクラウド利用の進展に伴い、企業のデータ量は増加し続け、これを狙うサイバー攻撃も激化している。データを守るためには保管場所が必要だが、低コストかつセキュアな環境を構築するためにはどうすればよいだろうか。

製品レビュー 株式会社ソフトクリエイト

Windows 11アップデートで発生しやすい問題とは? 円滑なOS移行方法を解説

Windows 10のサポート終了が迫り、Windows 11へのアップデートを考えている組織も多いことだろう。当然、アップデートには失敗したくないはずだ。ポイントを本動画で把握して、スムーズなOS移行を実現したい。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...