「5G」「Wi-Fi 6」の違いを徹底比較【後編】
「5G」と「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)を比較 4つの“根本的”な違いとは?
「5G」と「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)には共通した特徴がある一方で、異なる点も少なくない。具体的に何が違うのか比較してみよう。
「5G」(第5世代移動通信システム)と「IEEE 802.11ax」(業界団体Wi-Fi Allianceによる名称は「Wi-Fi 6」)は高速なデータ伝送速度や複数デバイスの同時接続を実現する点で類似するが、運用面からセキュリティ対策までさまざまな点で異なる。使い方によっては互いに補完し合い、過去の世代では実現できなかったネットワークを設計できる可能性がある。ただし、その上では両者がどのように違うのかを知っておくことが欠かせない。
併せて読みたいお薦め記事
注目すべきネットワーク業界の動向
「5G」と「Wi-Fi 6」をさらに深堀り
5GとIEEE 802.11axの違いの多くは技術の種類の違いに起因している。5GとIEEE 802.11axの間で最も顕著な違いはこの点にある。5Gが移動通信システムであることに対し、IEEE 802.11axは無線LAN技術の1つである。この違いによって、以下の点で違いが生まれる。
- 違い1.免許の要否
- 違い2.認証方法
- 違い3.セキュリティ対策
- 違い4.用途
違い1.免許の要否
移動通信システムは通信事業者が提供する。それは5Gでも基本的には同様だ。移動通信システムを提供する通信事業者は特定の周波数帯を利用するための免許を取得し、これによって電波の干渉を防ぐ。これに対して無線LANの周波数帯を利用するのに免許は必要ない。
違い2.認証方法
無線LANの周波数帯は免許がなくても使用できる一方、組織内の無線LANを利用する際には、ユーザー認証が必要になることが一般的だ。無線LANに接続する際、無線LANアクセスポイントの名称を示す「SSID」(サービスセット識別子)と「パスワード」が必要になる。
移動通信システムでもサービスの利用には、通信事業者やサービスの名称を示す「APN」(Access Point Name)やパスワードが必要だ。ただし別の基地局に接続するたびに異なるAPNとパスワードを求められることはないため、エンドユーザーは単純かつ簡単に利用できる。
違い3.セキュリティ対策
ネットワークの専門家にとって、5Gの懸念材料の一つがセキュリティだった。脆弱(ぜいじゃく)性に関する懸念や、5Gのセキュリティ対策には膨大なコストがかかる可能性があることなどがその理由だ。実際には、5GはSIMカードの情報を暗号化してやりとりするといった複数のセキュリティ機能を導入し、セキュリティ強化を実現している。こうした機能によって、デバイスの接続が5Gのネットワークをまたいで移動する際、過去の世代の移動通信システムでは保証できなかったシームレスかつ安全なデバイスの再認証が可能になる。
IEEE 802.11axは無線LANとしてセキュリティの一層の強化を目指している。例えばセキュリティプロトコル「WPA」(Wi-Fi Protected Access)の最新版「WPA3」を採用し、ユーザー認証と暗号化の強化を図る。WPA3は前身の「WPA2」の脆弱性を改善するよう設計されている。
違い4.用途
5GとIEEE 802.11axの大きな違いはどこでどう導入するか、つまり用途の違いにある。従来、屋内のLANを無線でカバーするネットワークとしては無線LANが一般的に用いられてきた。もちろんこれはIEEE 802.11axでも変わらない。IEEE 802.11axはそれ以外に、IoT(モノのインターネット)デバイスの接続、スポーツ競技場などデバイスの密集度が高い場所での無線ネットワークとしての利用が想定される。
移動通信システムは屋外での利用に適しており、新しい用途でいえば自動運転車のネットワーク接続にも利用できる。さらに5Gは、基幹網やエンドユーザーが接続するアクセス回線を中継する回線である「バックホール」や、企業と通信事業者の回線を無線で接続して固定回線として利用する「FWA」(固定無線アクセス:Fixed Wireless Access)といった用途への適用も可能だ。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー