コロナ禍の「ランサムウェア」対策【後編】
新型コロナ便乗の「ランサムウェア」攻撃は病院にとって脅威となるのか
新型コロナウイルス感染症に乗じるランサムウェア攻撃が増加し、医療機関や地方自治体の活動を妨げることを専門家は懸念する。その背景や想定される被害はどのようなものか。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策に悪影響を及ぼす恐れがある。「今のような状況で病院がサイバー攻撃を受けた場合のダメージは大きく、人命に関わりかねない」と、セキュリティベンダーBitSight Technologiesのバイスプレジデントであるジェイク・オルコット氏は述べる。「病院は既に手いっぱいのため、業務に混乱が生じれば壊滅的な状況を招くことになる」(オルコット氏)
併せて読みたいお薦め記事
新型コロナウイルス感染症に便乗する攻撃
新型コロナウイルス感染症対策としてのセキュリティ
「複数の地方自治体がランサムウェア攻撃に見舞われており、このような攻撃がもたらす混乱は計り知れない」と、通信機器ベンダーBlackBerryでサイバーセキュリティのテクニカルディレクターを務めるキャンプベル・マリー氏は述べる。地方自治体や医療機関の情報発信能力に影響が及べば、新型コロナウイルス感染症がさらに拡大することになる。
医療機関を標的としたランサムウェア攻撃の実情と対策
地方自治体や医療機関は、新型コロナウイルス感染症で衛生面に気を付けるだけでなく、セキュリティ対策も講じなければならない。専門家によると、現時点では医療機関や地方自治体がランサムウェア攻撃の標的になっている明確な証拠はなく、これまでの攻撃は脆弱(ぜいじゃく)なセキュリティ体制に起因するものだという。
2019年のようなランサムウェア攻撃のトレンドが続くと、2020年の状況は悪化するだろう。2019年には医療機関Hackensack Meridian Healthに加え、ニューヨーク州アルバニーやメリーランド州ボルチモアなどの地方自治体がランサムウェア攻撃の標的となっている。2020年3月には医療機関を標的とし、新型コロナウイルス感染症との関連性が疑われるランサムウェア攻撃が発生した。イリノイ州シャンペーン・アーバナ地区保健所のWebサイトが、ランサムウェア「NetWalker」によってダウンした。
セキュリティベンダーSophosでシニアテクノロジストを務めるポール・ダックリン氏は、以下の対策を推奨する。
- 早期かつ定期的なパッチ適用
- 強固なパスワードの設定
- アカウントの行動追跡
- 2つの認証情報を利用する「二要素認証」の使用
- システムログの確認
- 多層防御の導入
攻撃は侵入、マルウェアのダウンロード、標的システムのセキュリティ設定の変更といった複数の段階を踏んで遂行されることが一般的だ。この一連の行動を「キルチェーン」と呼ぶ。「攻撃者は全ての段階で成功しなければならないため、いずれかの段階をブロックできれば攻撃を阻止できる」とダックリン氏は話す。
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