開発者には「ノートPC」ではなく「デスクトップPC」の理由【後編】
ノートPCより「デスクトップPC」を買いたくなる人間工学、セキュリティ的理由
ノートPCが普及した今でもデスクトップPCが残り続けているのには、それなりの理由がある。デスクトップPCを選ぶことで得られるメリットとは何か。
開発者はノートPCではなく、デスクトップPCを使う方が理にかなっていると私は考えている。主な理由は以下に示す通りだ。前編「ノートPCより『デスクトップPC』を買うべき理由 価格、周辺機器、修理面で考察」に続く後編は、3つ目から6つ目の理由を説明する。
- 価格と処理速度のバランス(前編で紹介)
- 周辺機器の充実度(前編で紹介)
- アップグレードと修理の容易さ(前編で紹介)
- エルゴノミクスの重視度
- リソース構成の多様さ
- セキュリティ確保の容易さ
理由4.エルゴノミクスの重視度
ノートPCは、エルゴノミクス(人間工学)の観点から望ましくない。ノートPCのキーボードは通常、フルサイズキーボードのキーの一部が省略されている。さらに手首を不自然にひねって操作しなければならないことがあり、その場合は作業を続けていると手のしびれが起こる恐れがある。
ディスプレイの位置もよろしくない。ノートPCのディスプレイはキーボードに接続されており、エンドユーザーは頭を前に傾けて画面を見る。この姿勢は首と背中に無用な負担をかけることがある。
デスクトップPCは、エルゴノミクスキーボードを使ったり、傾きや間隔などを調整して複数のモニターを配置したりでき、エルゴノミクスの観点から非常に優れている。エルゴノミクスがより良いコードの作成につながるとは限らない。それでも開発者が快適であれば、短期的には生産的に作業ができ、長期的には健康を維持できる。
理由5.リソース構成の多様さ
ビジネス向けのノートPCをゲーミングマシンとしても使えるのは、幸運な場合に限られる。複数のディスクドライブが使える手ごろな価格のノートPCが見つかるのも、幸運な場合に限られる。複数のディスクドライブが使える構成は、マルチメディア編集や大規模データセットを使用する作業、ディスクドライブのミラーリングが要求される作業で必要になる。
デスクトップPC、特に大きな筐体のものは、さまざまな方法で簡単に構成できる。開発者や技術者は、ゲーム用に複数のグラフィックボードを追加したり、ストレージ容量を増やすために複数のディスクドライブを追加したりできる。
ディスクドライブを追加するだけで冗長構成の「RAID」を組むことも、デスクトップPCなら比較的容易だ。だがノートPCでは一般的に、RAIDを構成することはできない。デスクトップPCなら、少しゲームがしたいと思ったら、2つ目のグラフィックボードや、3台目、4台目のモニターを簡単に追加できる。
理由6.セキュリティ確保の容易さ
持ち運びが容易なノートPCは盗まれたり、公共交通機関に忘れたりすることがあり得る。ノートPCに機密の企業データや個人を特定可能な顧客情報を保存している場合、それは大きな問題だ。ノートPCのおかげで重要情報を持ち運べるが、それは必ずしも良いこととは限らない。
デスクトップPCは、電車に忘れることはあり得ない。犯罪者の格好の標的になりやすいノートPCとは雲泥の差だ。デスクトップPCのストレージに保存されたデータが犯罪者の手に渡る可能性は、ノートPCと比べるとはるかに低い。
ただし「VeraCrypt」や「BitLocker」のようなストレージ暗号化ツールは広く出回っている。そのためどんなフォームファクタ(形状や大きさの仕様)のPCでも、開発者がストレージを暗号化して、その中のデータに完全にアクセスできなくすることを怠る理由はない。
選ぶべき選択肢は
私の意見では、開発者に最適なマシン構成は、高性能のデスクトップPCと安価なノートPCの組み合わせだ。ノートPCは「PowerPoint」などのプレゼンテーションツールでの作業やビジネスランチといったモバイルタスクに使える。一方で日常タスクや開発作業は全て、開発者向けに構成された高性能デスクトップPCでこなせばよい。この両方を支給しても、高品質のビジネス向けノートPCよりも低コストで済む。
開発者がリモートワークをする必要が生じたら、デスクトップPCを仮想的に制御でき、モバイル用のノートPCと強力なデスクトップPCのいいとこ取りができる、リモートアクセスソフトウェアを活用するとよい。企業が新人開発者を支援する「オンボーディング」をするときは、デスクトップPCと安価なノートPCを用意すべきだ。そうすれば安上がりなだけでなく、従業員の心身の健康にもプラスになる。
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