2019年にPC市場が活況だった理由は、「Windows 7」のサポート終了による影響が大きいというのが専門家の見方だ。だが理由は本当にそれだけなのか。専門家に話を聞いた。
2020年1月にさまざまな調査会社が発表したレポートによると、PCの世界出荷台数は2019年に2011年以来、8年ぶりに成長に転じたという。
調査会社IDCの報告では、2019年のPC世界出荷台数は2018年比2.7%増、調査会社Gartnerの報告では0.6%増と、各社の数字に差はあるが、「Windows 7」のサポート終了が企業のPC買い替えを促進したという見方は一致している。Gartnerによると、2019年のPC出荷台数上位3社の2018年比成長率はLenovoが8.1%、Dellが5.2%、HPが3.0%だったという。
この成長が1年限りの一時的なものかどうかについては議論の余地がある。少なくとも一般企業にPCが普及しているという見解に異論はない。
「2020年1月にWindows 7サポート終了を迎えることが、企業規模の大小を問わずWindows 10への移行を加速させた」。IDCのリサーチ担当バイスプレジデントであるリン・フアン氏はこう指摘する一方、PC市場の成長にはさまざまな要因があったと考えている。2019年は新しいOSへの移行を迫られただけでなく、多くのPC部品を製造している中国との貿易摩擦の緊張が高まるという特殊な状況にあった。
供給不足と関税の問題もPC市場に影響したとフアン氏は指摘する。Intelが直面したCPU供給の問題は、米国のドナルド・トランプ大統領が2019年12月、中国との新たな合意により「制裁関税」を発動しない旨のツイートをして年内に回避された。
Gartnerのシニアプリンシパルアナリストである北川 美佳子氏は、出荷台数が増加したのはPC利用への関心が高まったからではなく、大部分は2020年1月14日のWindows 7サポート終了の影響によるものだとみている。
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