複数あるサービスの役割を整理
AWS、Azure、GCPの「ロードバランサーサービス」の違いを理解する
クラウドベンダー大手3社は「ロードバランサー」サービスを複数提供している。それぞれ何が違うのか。AWS、Google、Microsoftの主要なロードバランサーサービスと、それぞれの役割を見ていこう。
「ロードバランサー」(負荷分散装置)「ロードバランサー」(負荷分散装置)は、アプリケーションが受信したデータを複数のサーバに分散するアプライアンスまたはソフトウェアだ。IT部門は、特定のサーバに過度の負荷が掛かったり、過剰なトラフィック(データ量)が障害を引き起こしたりしないように、ロードバランサーを使用する必要がある。
AWS、Microsoft、Googleの主要ロードバランサーサービスを整理
オンプレミスのインフラでは、サーバの負荷分散のために物理的なロードバランサーを設置することが少なくない。一方でクラウドベンダーは、ソフトウェアベースのロードバランサーをサービスとして提供する。
ロードバランサーはアプリケーションのフロントエンドとして機能し、負荷分散の対象となるアプリケーション宛てに送信された全てのデータを受信する。ロードバランサーはアプリケーションを稼働させる各サーバにトラフィックを均等に分散するか、一定の割合で各サーバにトラフィックを送信するよう調整できる。
アプリケーションを稼働させるサーバが物理的に異なる複数の場所に存在していても、ロードバランサーを使用すれば負荷分散が可能だ。クラウドベンダーが提供するロードバランサーサービスは一般的に、同じ「リージョン」(地域ごとのデータセンター群)内または複数リージョンのデータセンターにある複数のサーバに、トラフィックを分散できる。
ネットワークのプロトコルを7つのレイヤー(階層)に分類した「OSI参照モデル」を基に考えると、ロードバランサーはデータを処理するレイヤーと、データの種類に応じて負荷分散する。通常、クラウドサービスのロードバランサーは第4層(レイヤー4)の「トランスポート層」または第7層(レイヤー7)の「アプリケーション層」で実行する。
例えばAmazon Web Services(AWS)のロードバランサーサービス群「Elastic Load Balancing」のサービス「Network Load Balancer」は、トランスポート層のプロトコルが処理するデータを管理する。トランスポート層のプロトコルには「TCP」(伝送制御プロトコル)、「UDP」(ユーザーデータグラムプロトコル)、「TLS」(トランスポート層セキュリティ)などがある。
MicrosoftとGoogleも各社のクラウドサービス群「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」(GCP)で、それぞれ「Load Balancer」「Cloud Load Balancing」といったロードバランサーサービスを提供している。こうしたロードバランサーサービスは、大量のデータを処理しながら、遅延を減らすことができる。そのためトラフィックが不規則または予想不能な状況に適切な選択肢だ。
OSI参照モデルのプロトコルスタックの最上位であるアプリケーション層では、HTTPリクエストやHTTPSリクエストなど、より複雑なデータを処理する。大手クラウドベンダーのAWSとMicrosoft、Googleは、アプリケーション層のプロトコルが扱うデータを処理するロードバランサーサービスとして以下を提供している。
- AWS
- Elastic Load Balancingのサービス「Application Load Balancer」
- Microsoft
- Application Gateway
- Google
- Cloud Load Balancingの機能「HTTP(S) load balancing」
IT部門はアプリケーション層で動作するロードバランサーサービスを利用することで、データの内容に基づいたルーティングの実行といった、より高度な負荷分散の仕組みを実装できる。こうしたロードバランサーサービスは、マイクロサービスやコンテナベースのアプリケーションへの利用にも適している。
ロードバランサーサービスで利用可能な機能については、広範に検討することをお勧めする。特に単一のフロントエンドIPアドレス(インターネットとアプリケーションとの通信を制御する「アプリケーションゲートウェイ」のIPアドレス)の利用や自動スケーリングの実行、トラフィックの監視といった機能があるかどうかを確認した方がよい。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
2
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー