「クラウドバースト」はアプリケーションの運用の一部をクラウドに拡張する方法だ。どのような運用方法があるのか。主要な手法と必要なツールを紹介する。
「クラウドバースト」とは、通常はオンプレミスで稼働させているアプリケーションの処理を、一時的にパブリッククラウドに切り替えることだ。必要に応じて必要な分だけリソースを調達でき、使用した分だけ課金されるパブリッククラウドの特性を取り入れることができる。オンプレミスで処理能力の限界に達したときにパブリッククラウドとの併用に切り替え、その必要がなくなれば再びオンプレミスのみの運用に戻せる。
本稿ではクラウドバーストを検討する際、知っておくべき幾つかのポイントを紹介する。主要な運用方法やそれらの制約事項、運用効率を高めるツールなどについてだ。
クラウドバーストの仕組みは難しくはないが、導入を成功させるのは容易ではない。まず問題となるのは、アプリケーションの動作だ。オンプレミスのアプリケーションがパブリッククラウドでも問題なく動作することを確認する必要がある。
パブリッククラウドは特定の技術や仕様によって構成されるインフラだ。アプリケーションは、そうした環境で機能する必要がある。一般的に、クラウドでの運用を前提に設計されたアプリケーションであれば、パブリッククラウドとオンプレミスのインフラを行ったり来たりしても、恐らく問題ないだろう。企業のプライベートクラウドで運用中のアプリケーションがそれに該当する。
パブリッククラウドで問題なくアプリケーションが動作することが確認できても、それで懸念点が全て解消されるわけではない。クラウドバーストは、ネットワークやストレージのパフォーマンスを低下させる可能性がある。そうした問題を引き起こすかどうかを確認する上でポイントになるのは、データをどこに格納し、どのようにネットワーク経由でやりとりするかだ。ネットワークやストレージの遅延を許容できないアプリケーションであれば、クラウドバーストの実践は致命的な問題を引き起こす可能性がある。
オンプレミスとパブリッククラウドの間でデータを出し入れする処理には時間がかかる。パブリッククラウドにいったん保存したデータを、オンプレミスのデータセンターに戻す際に追加のコストが発生する可能性もある。
クラウドバーストを実践するための一般的な手法は3つある。それぞれ、手作業で運用する範囲や使用するソフトウェアがそれぞれ異なる。以下でその違いを説明する。
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