主要クラウドベンダーは、ハイブリッドクラウドにどう向き合い、どのような製品を提供しているのか。クラウドベンダーのハイブリッドクラウドに対するスタンスや製品展開の方向性を整理する。
主要クラウドベンダーによるハイブリッドクラウド分野の動きが活発化している。2018年後半から注目すべき発表が続き(表)、従来はパブリッククラウド一辺倒だったクラウドベンダーも、オンプレミス側に重心を移しつつあるようだ。Amazon Web Services(AWS)のパブリッククラウドと同様の機能を搭載したアプライアンス製品「AWS Outposts」や、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を主要コンポーネントとするGoogleの「Anthos」をはじめとする新製品/サービスが登場している。
比較的早期からハイブリッドクラウドの取り組みを進めたのはMicrosoftで、2017年にクラウド「Microsoft Azure」(Azure)の機能を搭載したアプライアンス「Azure Stack」を提供開始した。それを追う形で、AWSやGoogleが参戦する格好となっている。
関連分野のM&A(買収・合併)も目立つ。例えばIBMは2018年に、Kubernetesを中心としたPaaS(Platform as a Service)構築製品を手掛けるRed Hatの買収を発表した。主要クラウドベンダーの動きを見る限り、クラウドとオンプレミスの双方でアプリケーションを運用したいという企業のニーズはそれだけ大きいといえるだろう。
ベンダー名 | 発表内容 | 発表時期 |
---|---|---|
IBM | Red Hatの買収を発表。Kubernetesを中心としたPaaS(Platform as a Service)構築製品を製品ラインアップに組み入れる | 2018年10月 |
Amazon Web Services(AWS) | パブリッククラウドの機能を搭載したアプライアンス「AWS Outposts」を発表 | 2018年11月 |
Microsoft | VMware製品による仮想環境をMicrosoft Azure内で構築する「Azure VMware Solutions」を発表 | 2019年4月 |
Kubernetesベースのハイブリッド/マルチクラウド環境を構築する「Anthos」を発表 | 2019年4月 | |
この連載では、主要クラウドベンダーのハイブリッドクラウドに関連する製品動向を取り上げる。第1回となる本稿では、各社のハイブリッドクラウド分野に対するスタンスや、オンプレミスの課題へのアプローチの仕方について、特に国内市場における各社の見解を交えつつ紹介する。対象とするのはAWS、Microsoft、Google、IBM、Oracleの5社だ。
「ハイブリッドクラウドという構成では、パブリッククラウドとオンプレミスの環境を自由に行き来する仕組みを実現することが当社の方針だ」――。日本マイクロソフトでクラウド分野のプロダクトマネージャーを務める佐藤壮一氏は、Microsoftのハイブリッドクラウド戦略についてこう説明する(図1)。中核的な製品に位置付けているのはAzure Stackだ。
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