ITでCOVID-19に対処した医療機関【後編】
1日300人以上のコロナ検査をさばく病院が実践した“ITやりくり術”とは?
1日当たり300人以上のCOVID-19検査を実施するカナダの医療機関Southlake Regional Health Centreは、検査を受けた人に結果を迅速に届けるべく、新規システム導入ではなく既存システムの活用を選んだ。その方法とは。
医療ITの専門家は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を経験し、春から初夏にかけて何が功を奏したかを把握しつつある。教訓を一言でまとめると「今持っているITリソースを活用する」ということだ。前編「医療機関が2週間で古い病院を“コロナ専用病院”に改装 成功の秘策は?」に続く後編となる本稿は、電子カルテ(EHR:電子健康記録)ベンダーMedical Information Technology(MEDITECH)が2020年9月に開催したオンラインカンファレンス「2020 Physician and CIO Forum」の講演内容を基に、既存のテクノロジーによる支援が有効だったカナダの医療機関の事例を紹介する。
カナダにあるSouthlake Regional Health Centreは400床の病院で、パンデミックの最中には1日当たり300〜500人がCOVID-19検査のために外来に訪れていた。同院は検査を受けた人に、検査結果を迅速かつ効率的に届ける方法を探る必要があった。最高情報責任者(CIO)であるサム・フィールディング氏は、そのための配達システムを新規に構築するのではなく、医療ITの専門家に既存のプロセスを見直すように促した。同院のIT部門は、解決策の一つとして患者ポータルに目を向けた。
既存の患者ポータルや電子カルテをコロナ対策に活用
Southlake Regional Health Centreは2019年に患者ポータルを立ち上げていた。患者はこの患者ポータルを利用することで、オンラインで診療予約に加えて、検査結果の確認や医師のメモ、その他の医療データを確認できる。フィールディング氏によれば、立ち上げ直後は患者ポータルを利用する患者数は少なかったが、パンデミックによって状況は変わり、患者の関心が大幅に高まった。「必要なピースはそろっており、準備はできていた。後は強力な推進力が必要なだけだった。それこそが大きな救いだった」と同氏は語る。
数年前、Southlake Regional Health CentreのIT部門は、エボラ出血熱の発生に対処するためにEHRに新しい機能を追加した。その一つは、患者データを評価し、注意が必要な患者を自動的に特定する分析機能、つまり監視機能だった。
予算の制約があり、当時Southlake Regional Health Centreは監視機能を実装しなかった。ところがパンデミックによって変化が生じ、同院は監視機能を実装して利用を始めた。そしてEHRの潜在的な有用性を再評価するに至った。同院は新製品の導入も検討したが「既に連携が確立していたEHRを優先した」とフィールディング氏は言う。「今は実装していない全ての機能を再検討し、短期間で最大のメリットをもたらす方策を検討しているところだ」(同氏)
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