Windowsファイルシステムの違いを比較【後編】
いまさら聞けない「NTFS」「ReFS」の基礎 「新しい方が良い」と言い切れない?
新しい技術が、あらゆる点で過去の技術より優れているわけではない。「Windows」のファイルシステムのうち、広く使われている「NTFS」と、比較的新しい「ReFS」の基本的な特徴を整理すると、その訳が見えてくる。
前編「いまさら聞けない『FAT16』『FAT32』の基礎 いまだ“現役”の2つの違い」は、「Windows」シリーズで利用可能なファイルシステムのうち「FAT16」「FAT32」を解説した。後編となる本稿は、より新しいファイルシステム「NTFS」「ReFS」を紹介する。
併せて読みたいお薦め記事
「ファイルシステム」についてもっと詳しく
「Windows 10」の基礎知識
Windowsファイルシステム3.NTFS
1993年に「Windows NT」で導入されたNTFSは、「Windows 2000」「Windows XP」「Windows 7」「Windows 8」「Windows 10」といった以降のバージョンのWindowsでも利用できる。クライアントOS版のWindowsに加えて、サーバOS版の「Windows Server」でも広く使われているファイルシステムだ。
FAT16やFAT32とは異なり、NTFSは更新情報を定期的に記録する「ジャーナリングファイルシステム」だ。NTFSは書き換え処理(トランザクション)を「ジャーナル」(ログ)として記録する。Windowsのディスクチェックツール「CHKDSK」などのトラブルシューティングツールを利用する際に、このジャーナルを参照してデータの破損を修復し、ファイルシステムを一貫した状態に戻せるようにしている。
NTFSの開発における主な設計目標は、ファイルシステムのセキュリティ向上だった。当初は、NTFSでフォーマットされたディスクは、Windows NTしか読み取ることができなかった。このことは、攻撃者がディスクに物理的にアクセスできる場合でも、攻撃を阻止するのに役立った。現在では、NTFSをサポートしているどのWindowsも、NTFSディスクを読み取れる。
MicrosoftはNTFSで、ACL(アクセス制御リスト)によるアクセス権の設定も可能にし、セキュリティを高めた。Windows 2000でNTFSをアップデートし、ファイルシステムレベルの暗号化を実現した。Microsoftはこの機能を「EFS」(Encrypting File System)と呼ぶ。
NTFSの容量制限は、長年の間に大幅に引き上げられてきた。理論上、Windows NTバージョンのNTFSが扱えるボリュームの最大容量は256TBだった。これに対してNTFSのWindows 10バージョンは、最大8PB(ペタバイト)のボリュームを扱うことができる。
Windowsファイルシステム4.ReFS
ReFSは「Windows Server 2012」で初めて登場した。MicrosoftはReFSを、NTFSに代わる次世代ファイルシステムとして設計した。ただし技術的には、ReFSはNTFSをベースにしている。ReFSはデータの整合性を検証する「整合性ストリーム」やデータ書き込み時の信頼性を高める「書き込み時割り当て」といった技術を使用して、「ボリューム」(ディスクを論理的に分割した単位である「パーティション」内に作成した論理領域)に保存されたデータを保持する。
Microsoftが開発したReFS用トラブルシューティングツール「ReFSUtil」は、損傷したReFSボリュームからのデータ回復を支援する。こうしたボリュームで見つかったファイルを別のディスクにコピーする機能を備える。
ReFSでは、扱える容量がNTFSと比べて大幅に拡大している。理論上の最大ボリューム容量は1YB(ヨタバイト)であり(約1兆TBに相当)、最大ファイルサイズは16EB(エクサバイト)だ(約1600万TBに相当)。
登場当初のReFSは、暗号化ファイルシステムや重複排除など、NTFSの広く使われている機能の一部が欠けていた。Microsoftは、Windows Serverの年2回更新モデル「Semi-Annual Channel」(SAC:半期チャネル)におけるバージョン「1709」で、ReFSに重複排除機能を追加した。それでもReFSは依然として、NTFSのかなりの機能が欠けている。例えばファイルシステム暗号化やファイルシステム圧縮といった機能を備えておらず、OSの起動に必要なファイルを格納する「ブートボリューム」に使用することもできない。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー