企業は解雇とどう向き合うべきか【第1回】
その解雇、本当に必要? 踏み切る前に検討したい「再教育」の意義
新型コロナウイルスの流行が招いた経営不振は、企業に従業員の解雇を決断させることがある。ただし解雇は状況打破の唯一の手段ではない。代替策となり得るのが従業員の「再教育」だ。その根拠とは。
米労働統計局(BLS:Bureau of Labor Statistics)が2020年12月に発表した雇用状況のプレスリリースによると、米国で同年11月に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響を受けて職を失ったり、勤務時間の短縮を指示されたりした人数は1480万人に上る。こうした数字を目の当たりにして「思いやりなど取るに足らないことだ」と考える人もいるだろう。だが思いやりの大切さはかつてないほど増している。
解雇には負の波及効果がある。ただし共感と思いやりを持って対処することで、ある程度は負の影響を減らすことができる。解雇の代案を模索することも重要だ。本連載は4回に分けて、企業が解雇とどう向き合うべきかを解説する。
従業員の解雇を回避するために重要な“再教育”
解雇を検討するに当たって「完璧な対応策」はめったにあるものではない。ただし代案を見逃している可能性はある。世界中の労働者を揺るがす大きな混乱が生じ、その影響が尾を引きそうな現状では、代案の検討が特に重要になる。その代表例が従業員のスキルや技能の再教育だ。
世界経済フォーラム(World Economic Forum)が発行した報告書「The Future of Jobs Report 2020」(仕事の未来レポート2020)には「自動化と新型コロナウイルス感染症による不況が重なったことが、労働者の間に『二重の混乱』を生み出している」という記載がある。報告書は、パンデミックに起因するロックダウン(都市封鎖)や景気後退による現状の混乱に加え、企業がテクノロジーを採用することで、2025年までに職務や仕事、スキルに変革が起きるとの予測を紹介している。
スキルや技能の再教育は、解雇の重要な代案になる可能性がある。社内の流動性を広げる点でも堅実な戦略だ。同報告書は、技能再教育について以下の様にも述べた。
従業員への技能再教育は、特に業界団体内や官民連携の中ですれば、コスト効率に優れ、なおかつ中長期的に見て大きな見返りがある。さらに自社だけでなく幅広い社会への貢献にもなる。多くのリーダーはこのことを理解している
現在の経済情勢は労働者の再教育を難しくしている。だが同報告書によれば、調査対象となった企業は、2025年までに70%強の従業員に対してスキルや技能の再教育の機会を提供する考えだ。
次回「業績悪化でも企業が『解雇』を最終手段にすべき理由と、検討すべき代替策」は、企業が解雇を最終手段にすべき理由と、解雇を回避するための他の代案を解説する。
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