パンデミックがもたらした人事の課題【後編】
人事部門は「ギグエコノミー」「BLM」にどう対処すべきか? Gartnerが助言
人事部門を取り巻く状況はどう変化するのか。そうした変化の中で、従業員とどう向き合えばよいのか。Gartnerに聞く。
米TechTargetは調査会社Gartnerの人事調査責任者であるブライアン・クロップ氏に、2021年の人事動向に関する見解を聞いた。前編「新型コロナで『男女間の賃金格差』が拡大? Gartnerが語るこれからの人事」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に伴う働き方の変化が、男女の賃金格差の拡大をもたらすというクロップ氏の考えを紹介した。後編である本稿は、企業に今後起こり得る変化と、従業員への向き合い方を聞く。
「ギグエコノミー」「BLM」に人事部門はどう向き合うか
―― テレワークの広がりやリモートアクセスを支援するツールの充実により、国際的な労働力の使用が増加するのでしょうか。
クロップ氏 確実にそうなるだろう。テレワークへの移行に伴い、特定の場所に1000人あるいは500人といった大人数がいる必要性はなくなった。
―― この国際的な変化の一環として、請負業者や「Fiverr」などのクラウドソーシングの使用が増えると考えますか。
クロップ氏 「ギグエコノミー」(Gig Economy:インターネット経由で単発や短期の仕事を請け負う働き方)を実現する幾つかのサービスでは成長が見込める。ただし多くの人が予測しているほどには成長しないだろう。
従業員のパフォーマンスを向上させるには、同僚との感情的および社会的な強いつながりを確保することがさらに重要になる。これらのつながりはコラボレーションとイノベーションを推進し、ギグエコノミーとは相反する。ギグエコノミーは仕事をする人同士で同じような感情的および社会的なつながりを持たないからだ。
―― 採用担当者にとって、候補者がニューヨークやロンドンなど各国の主要都市にいることは重要でしょうか。
クロップ氏 重要ではなくなってきている。企業が現在認識しているのは、デジタル技術を活用して、さまざまな方法で作業する必要があるということだ。このような状況でも従業員間で新しい感情的および社会的つながりを生み出すために、彼らは働き方を変えようとしている。
―― この感情的なつながりを生み出すために、人事部門はどのような手段を提供する必要があるのでしょうか。
クロップ氏 従業員が持つスキルだけでなく、他の人と仕事をしたり交流したりする方法、個人的な経験など、その人の全体像を把握する方法を考える必要がある。
―― 最近目にする傾向の一つは、日々の社会的および政治的議論に対して立場を表明する動きが企業の間で広がってきていることです。これらの企業は、さまざまな問題に対するロビー活動に何百万ドルも費やしており、彼らの本来の立場とは異なると論じる人もいます。これは偽善につながる行為でしょうか。
クロップ氏 確かにその可能性はある。変化している点は、従業員が雇用主に社会的、政治的問題に立ち向かうことを要求していることだ。2020年夏、多くの企業は社会正義運動に対する反応として「人種差別はいけない」「Black Lives Matter」(BLM:黒人への人種差別に対する抗議運動)など、問題に対する声明を出すのみだった。企業が発信しかしない場合、辞めていく従業員もいた。「社会問題に熱意を持ち声明を発したが、何も行動を起こさなかった会社に失望した」という理由でだ。
従業員の定着率が高いのは、声明を出すだけでなく、金銭、評判、時間などをいとわず積極的に行動する企業だと、当社は分析している。これらの企業は活動に透明性があり、従業員に最新の情報を提供し、問題に関心のある従業員には丁寧に説明している。ただし何か重要な声明を発出しても、元来取っている立場と相反する方針であることが分かると、従業員は離れていく。
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