緊急事態のテレワーク基礎ガイド【後編】
在宅勤務最大の課題は“孤立感”? 配慮すべきインフラと社員のメンタル
突然の在宅勤務を始める従業員がつまずきやすいポイントは「自宅のインターネット回線」そして「孤独で不安な状況で働くこと」だ。これらの課題に配慮するための方法とは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をこれ以上拡散させないために、企業の間で在宅勤務などのテレワークを実施する動きが加速する中、テレワークの長所と短所についても認知が広まっている。セキュリティを保ちながら、利便性も損ねないテレワークを実現するには何が必要だろうか。
前編「『Zoom』だけじゃない、新型コロナ対策の在宅勤務に役立つITツールとは?」、中編「新型コロナウイルス感染対策の在宅勤務で『UEM』『EMM』の重要性が高まる理由」に続き、本稿はテレワークのインフラ、従業員エクスペリエンスについて解説する。
従業員のテレワークインフラを整備
職場では専用ネットワーク回線を提供する事業者が、SLA(サービスレベル契約)でアップタイム(稼働時間)を保証していることが一般的だ。従業員が自宅のインターネット回線を使って作業する場合、会社はその接続性を管理できない。
調査会社Forrester Researchのアナリストであるアンドリュー・ヒューイット氏によると、コンシューマー向けのWebサービスを使用する従業員がWeb会議サービスやコラボレーションツールを利用するには、最低でも50Mbpsのネットワーク接続が必要だという。通信費用が発生する場合は、会社の経費としての精算を検討する必要がある。
VPNで保護された接続の使用を従業員に義務付けたとしても、従業員が自宅で契約している回線を使用することになり、適切な回線でなければ接続できない可能性がある。従業員のインターネット使用データ量に上限がある場合も接続の問題が発生する。
会社側のネットワークゲートウェイも接続の弱点にならないように、IT部門は確認する必要がある。
従業員の“孤立感”に目を向けるべし
「平時」の従業員エクスペリエンスの向上策として、既にテレワーク制度を導入している企業は珍しくなく、テレワークのプロセスとツールは目新しいものではない。例えばDevOps(開発と運用の融合)チームにとってリモート作業をする機会は珍しくなく、国外のオフショア開発チームと共同で作業することもある。彼らはWebベースのユーザーインタフェース(UI)でITツールを使うことに慣れている。
自宅で1人で仕事をすることに慣れていない従業員は、孤立感や能率の低下を経験したり、絶え間なく流れてくる新型コロナウイルス感染症のニュースによって仕事に集中できなかったりする場合がある。そのため人事部門のサポートも重要だ。給与や福利厚生、その他従業員の生活に影響するさまざまな側面に関する継続的なコミュニケーションが必要になる。
セルフサービス型の人事ツールを利用すると、従業員は必要な情報に簡単にアクセスできる。プロジェクト管理ツールは従業員と管理職の間のより良いコミュニケーションを支援する。「Slack」や「Microsoft Teams」などのビジネスチャットツールを利用すれば、チームメンバー間のコミュニケーションが円滑になり(楽しい画像を送り合って笑うだけでもいい)、在宅勤務中の従業員エクスペリエンスが向上する。
新型コロナウイルス感染症対策で在宅勤務中の従業員は、自分のことや家族の世話で何かと忙しくなる。そのためヒューイット氏は、雇用者側の要求レベルを緩めることを推奨している。ただし勤務に関する要求は明確にすべきだという。従業員が必要なツールにアクセスできるように、テクニカルサポートの利用方法に関する詳しい説明を提供することも重要だ。
ヒューイット氏は次のように述べる。「従業員は24時間仕事モードになるわけにはいかず、会社が期待するほどいつでも仕事に従事できるわけではない。雇用者は少し考え方を柔軟にする必要がある。ただし長時間不在にするときは上司やチームに連絡する必要があることは明確にすべきだ」
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