「自動車アナリティクス」の今【前編】
「自動車アナリティクス」なぜ活況? 不況下の顧客第一主義シフトが契機に
自動車業界にとって、自動車に関するさまざまなデータを分析する「自動車アナリティクス」はこれまでも欠かせないものだった。市場の変化や景気の低迷といった現状によって、その重要性はさらに高まっている。
マーケティングから自動車保険に至るまで、データ分析はあらゆる面で自動車業界の発展に貢献してきた。そして今、自動車の製造や販売、使用の各プロセスで得られるデータを収集・分析する「自動車アナリティクス」(Automotive Analytics)は、業界の消費者理解を助けるものへと変わりつつある。
製品中心から顧客中心への変化が生んだ「自動車アナリティクス」のニーズ
自動車メーカーは、自社の分析能力強化と成熟度向上に取り組んでいる。市場の状況が変化し、競争が激化の一途をたどる中、自動車メーカーが利用可能なデータが急速に充実している。
Deloitte Analyticsでマネージングディレクターを務めるアシュウィン・パティル氏は「ここ20年ほどの間、自動車業界の顧客の大半は、製品中心から顧客中心へと明らかに視点を変えている」と話す。Deloitte Analyticsは国際会計事務所・コンサルティング企業Deloitte Touche Tohmatsuのデータ分析専門部門だ。
顧客第一主義の名の下、自動車業界は顧客の習慣や傾向を見つけるために顧客データを掘り下げる方向に視点を変えた。データ駆動型マーケティングとパーソナライゼーションによって、自動車メーカーは目の前の人に最もふさわしい自動車を提示することができるようになった。「データが誰でも広く利用可能になり、データ分析が普及した。こうした変化はその後も大きな広がりを見せている。自動車業界でのデータ分析の成熟度は日々高まっている」(パティル氏)
マーケティングが高度化したことで各社は競合や業界全体の動向を観察し、購買につなげようとしている。業界トップ企業は購買データを新製品開発にも使っている。販売店はそれぞれの地域で人気の自動車の在庫を確保するためにデータを活用している。
大不況からの再出発
2007~2009年の大不況の時期、自動車業界は甚大な影響を受けた。大手自動車メーカーはリストラとプロセスの見直しを余儀なくされた。その後数年間に生じた変化が、自動車メーカーの新たな分析手法を形作った。「企業は全く突然に、消費者のニーズとそれに応える最善策に向き合わざるを得なくなった」とパティル氏は話す。
経済が衰退し、消費者は保守的になった。それにつれてトラックやSUV(多目的スポーツ車)など、利益率の高い車種の販売台数が減少した。自動車メーカーは窮地に陥った。消費者の購買傾向の変化を予測できなかったことが、自動車メーカーのアプローチを変える一因となった。
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