訴状と声明を基に整理
Amazonが「黒人従業員への差別」で訴えられる 何が起きていたのか?
黒人従業員に対する差別的な扱いに関する訴訟に直面しているAmazon.com。同社で何が起きていたのか。原告による訴状と、同社の声明を基に整理する。
Amazon.comが、黒人従業員の扱いに関する訴訟に直面している。「少ない賃金で働かせる目的で、黒人従業員を低いレベルの職業にとどまらせ、昇進を遅らせている」というのが訴訟の骨子だ。米ワシントンD.C.の連邦地方裁判所に提出した訴状で原告は、同社一部従業員の不適切な行為に関して具体的に説明し、同社にはダイバーシティー(人材の多様性)に関する広範な問題があると主張している。
Amazonは「いかなる差別も容認しない」、原告は「差別は一部ではない」
原告であるシャルロット・ニューマン氏は2017年、Amazon.com子会社Amazon Web Services(AWS)にパブリックポリシーマネジャー職として採用された。訴状によると、ニューマン氏は「肌の色と性別に基づく、組織的で乗り越えられない差別の行動様式」に直面した。AWSで働き始める前、同氏はニュージャージー州選出の民主党所属コリー・ブッカー上院議員のトップアドバイザーを務めていた。
訴状でニューマン氏は、同僚2人と同席した夕食会で同僚の1人がニューマン氏の体に触れるといった性暴力をはじめ、同僚による不適切な行為があったと主張している。問題を起こした従業員は後に解雇された。
Amazon.comは今回の訴訟を受けた声明で「当社は、多様かつ公正で包括的な文化を育てるため尽力している」と強調。今回の申し立ては「そうした努力や当社の価値観が反映されていない」と主張する。声明で同社は「いかなる種類の差別やハラスメントも容認せず、全ての申し立てを徹底的に調査し、適切な措置を講じる」と説明している。
今回の訴訟では、Amazon.comにおけるダイバーシティー関連の問題が“一触即発”の状況だと考えられる詳細な内容が明らかになっている。訴状にはニューマン氏の同僚の話として「『似た立場にある白人従業員の給与と比べて、黒人従業員の給与が少ない状況が常態化していること』や『グループ経営陣の上層部に黒人がほとんどおらず、女性も極めて少ないこと』に気づいていた」という内容が記載されている。
訴状で原告は、Amazon.comでパブリックポリシーを担当する従業員グループについて、同社が不平等な状況に注意を払っていないことによって「士気が下がり悩むようになった」と説明している。2019年9月ごろには、同グループは人種と性別に関する問題に対処するための、極めて詳細なポリシー提案を含む長大な覚書を作成したという。
「Amazon.comの従業員で差別的な扱いを受けているのは、ニューマン氏だけではないことは明らかだ」と訴状には記載されている。
ジェフ・ベゾス氏は「パイプライン問題」を主張
米議会は大手IT企業のビジネス慣行への関心を高めている。下院の司法委員会に属する「反トラスト法、商法、行政法に関する小委員会」(Subcommittee on Antitrust, Commercial and Administrative Law)は2020年7月、オンラインサービスと市場独占の調査の一環で、Amazon.comの創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏に質問した。
小委員会でベゾス氏は、Amazon.comは人種的マイノリティーや性的マイノリティーといった「過小評価グループ」を対象とした、コンピュータサイエンス分野におけるキャリア機会を改善する取り組みを進めていると主張。「ハイテク分野にはダイバーシティーに関する『パイプライン問題』(注)があり、これが黒人コミュニティーに多大な影響を与えている」と証言した。
※注:過小評価グループに有能な人材が不足していることが、ハイテク分野におけるダイバーシティーの欠如につながっているという主張。
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