Amazonが主導する出版業界の変革【前編】
「Kindle」「Audible」以上の衝撃か? Amazonが「POD」で起こす出版革命
Amazon.comは電子書籍サービス「Kindle」の市場投入や「Audible」の買収を経て、書籍の出版や購入、読書の方法を変えた。長期的な目で見ると、さらに大きな影響を及ぼし得るサービスがあるという。それは何なのか。
ジェフ・ベゾス氏が1995年にオンライン書店としてAmazon.comを創業してから約25年になる。同社はその絶大なパワーにより、書籍の購入方法や読書の方法だけでなく、出版の方法も変えてきた。同社が出版の分野で、今後も市場支配力とデータ主導の意思決定を活用し続けることで、さらに多くの変化が起こると出版の専門家は予測する。
併せて読みたいお薦め記事
Amazon関連の注目トピック
- AmazonにWalmart――コロナ禍の“勝ち組小売り”は何をした? Accentureに聞く
- 「Amazon S3」内のデータが設定ミスで公開状態に 漏えいしたデータは?
- 「Alexa」「Googleアシスタント」「Siri」の録音は人が聞いていた
『TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス』の注目記事
Amazon.comが実施してきた全ての試みが成功しているわけではない。ただし出版業界における流通全体を大きく変えた取り組みもある。同社の取り組みをきっかけに起きた、出版業界の顕著な変化をまとめた。
「Kindle」「Audible」以上の衝撃? 「POD」のインパクト
2007年発売の電子書籍リーダー「Kindle」が人気を集めたことで始まった、デジタル読書革命が1つ目の変化だ。調査機関Pew Research Centerによると、2019年には、過去1年間に米国成人の約25%が電子書籍を読んでいた。
2つ目の変化は、2008年にAmazon.comがAudibleを買収したことで起きた。Audibleは書籍を朗読した音声を配信するオーディオブック(録音図書)サービスのスタートアップ(創業間もない企業)だ。スマートフォンのストレージ容量が増えたことを利用して、書籍の音声データをダウンロードおよび保存できるサービスを立ち上げた。Audibleの取り組みでオーディオブックの利用がより身近になった。前述のPew Research Centerの調査によると、2019年には米国成人の約20%が「過去1年間にオーディオブックを聞いた」と答えている。
長期的な視点で見て、今後起こり得る最も重要な変化の一つは、必要部数だけ印刷する技術「プリントオンデマンド」(POD)が台頭する可能性があることだ。Amazon.comは、誰もが電子書籍を書いて出版できるPODサービスを普及させた。出版社は在庫リスクを負うことなく、Amazon.comがPODサービスを運営するどの国でも書籍を販売できる。
Amazon.comはPODサービス「Kindle Direct Publishing」を通じて自費出版モデルを推進してきた。PODサービスの普及により、最近出版された書籍が絶版になることはほとんどなくなるだろう。一方で、一冊の書籍が注目を集めることはますます難しくなった。
後編「『Kindle Unlimited』の限界と可能性 ヒットメーカーは編集者からAmazonに?」は、Amazon.comのサービス「Kindle Unlimited」が出版業界に与えた影響と、ビジネス上の課題を紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー