コロナ収束後の採用市場はどう変わるか【前編】
「テレワーク許可」の企業が「完全オフィス出社」に戻すと離職率が上がる?
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、テレワークの導入が拡大した。パンデミックの収束後、企業がテレワークを廃止したらどうなるのだろうか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が収束した後も、従業員がオフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークを望む可能性がある。完全なオフィスワークの体制に戻すことを望む企業は、ある理由からコストが増える可能性があることを覚悟しなければならない。
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テレワークを廃止する企業からは人が去る?
企業の従業員がテレワークへと移行した頃、従業員は自宅の作業環境を整えるのに約600ドルのコストをかけた――。これは米国人3万人を対象とした、テレワークに関する調査報告書「Why Working from Home Will Stick」が示す調査結果だ。同報告書によると、ほとんどの労働者は週に1日以上のテレワークを歓迎している。テレワークもしくは、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークの継続をかなえるためなら、たとえ収入が下がっても転職をも辞さないという。
テレワークの人気は非常に高い。転職を考える労働者は「テレワークが許される企業であれば、今の仕事の給与から5~10%の減給になるとしても応募する可能性がある」と、スタンフォード大学(Stanford University)の経済学の教授であり、調査報告書の執筆者の一人でもあるニコラス・ブルーム氏は指摘する。
同報告書は、全就業日のうちテレワークが占める割合について、パンデミック前は5%だったのに対し、パンデミック後は20%になると予測する。テレワーク人気の高まりや、テレワークの拡大により、ハイブリッドワークを拒否する企業は人材採用において課題に直面する恐れがある。
「労働市場は過熱している。もう間もなく人材争奪戦争の時代に戻る」とブルーム氏は語る。テレワークを許可しない企業は「従業員に非常に高い報酬を支払うことで退職を防がなくてはならない」と同氏は指摘。従業員に対して何が何でも出社を求めたいのであれば、企業は給与を上げる必要があるという。「それができないのであれば、離職率の増加を覚悟するしかない」(同)
「持続可能性」を重視する企業が人気に
ハイブリッドワークの他にも、企業が採用活動で注意しなければならないことがある。IBMが2021年4月に発表した調査結果によると、半数を超える求職者が「環境的に持続可能な」慣行とポリシーを持つ企業に就職したいと考えていることが分かった。
同調査は、IBMが9カ国の成人1万4000人に実施したもので、労働者および求職者の71%が「環境的に持続可能な企業の方が就職先としての魅力が高い」と答えた。同社が「潜在的な全労働力(注)」と定義する労働者候補の3分の2は「環境的、社会的に責任のある企業に応募して就職する」可能性が高く、ほぼ半数は「給与が下がってもそのような企業、組織で働きたい」と考えている。
※注:フルタイムまたはパートタイムで働いている労働者および、就職先を探している失業者、学生などを指す。
「従業員は、より目的と意味のある仕事を求めている。同時に、より自分と価値観の合う企業で働きたいと考えている」。IBMのコンサルティング部門IBM Global Business Servicesで人材および人事改革戦略クライアントサービスのグローバルリーダーを務めるエリザベス・バーギーズ氏はこう語る。
次回は、従業員の離職の兆候を知る方法を紹介する。
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