「セキュアリモートアクセス」導入・選定ガイド【第2回】
VPNだけではない「セキュアリモートアクセス」を実現する技術、その長所と短所
コロナ禍でニーズの高まりを見せる「セキュアリモートアクセス」は、さまざまな技術分野で構成される。「VPN」や「CASB」など、代表的な技術分野とそれぞれの長所・短所を解説する。
クラウドサービスでもオンプレミスインフラでも、セキュアなリモートアクセス技術があれば、ユーザーとアプリケーション、ITリソース、システムとの間で、場所を問わない接続性が実現する。第1回「『セキュアリモートアクセス』とは? コロナ禍で変化した意義と必要性」に続き第2回となる本稿は、セキュアリモートアクセスを実現する代表的な技術分野を解説する。
米国TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリストであるジョン・グレイディ氏は、セキュアな接続を積極的に実現する技術をセキュアリモートアクセスと定義する。セキュアリモートアクセスを構成する技術には何があるのか。
併せて読みたいお薦め記事
テレワークで注意すべきセキュリティ問題
- 安全なはずの「SSH」が抱える6大セキュリティ問題とは? 危険性と対策は
- いまさら聞けない「VPN」の必修12用語 あなたは幾つ知っている?
- 在宅勤務では「有線LAN」と「無線LAN」のどちらを選ぶべきか?
ゼロトラストセキュリティをテレワーク保護に役立てる
VPNだけではない 「セキュアリモートアクセス」を実現する技術分野
VPN
従来は、限られた数のユーザーのみに「VPN」(仮想プライベートネットワーク)経由でセキュアな接続を提供する企業が一般的だった。VPNは、オープンソースの「OpenVPN」をはじめとするVPNツールを使い、公的なインターネットを横断する仮想的なトンネルを構築し、セキュアな接続を実現する。
セキュリティプロトコルに「IPsec」を使ったVPN(IPsec VPN)の場合はエンドユーザーのデバイスにクライアントソフトウェアをインストールする必要がある。それに対して通信路暗号化プロトコル「SSL」「TLS」を使ったVPN(SSL VPN)では、デバイスはクライアントソフトウェアがなくてもWebブラウザベースのアプリケーションでVPNに接続できる。企業はオンプレミスインフラにVPN機器を導入することも、VPNのクラウドサービス(クラウドVPN)を利用することもできる。
CASB
「CASB」(クラウドアクセスセキュリティブローカー)は、ファイアウォール、暗号化、認証、データ損失防止といった技術を使ってユーザーとクラウドインフラにあるアプリケーションの間のセキュアな接続を確立する。ただしオンプレミスのリソースに対するセキュアリモートアクセス機能は提供しない。企業はCASBの機能は単独ツールとして利用できる他、セキュアリモートアクセス機能と「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)機能を組み合わせた「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)の一部として利用できることがある。
ZTNA
「ZTNA」(ゼロトラストネットワークアクセス)のアプローチは、ユーザーごとにネットワークリソースへのアクセスを調整する方式だ。VPNが一律に接続を認めるのに対し、ZTNAはユーザーIDとコンテキスト(デバイスやユーザーの状況)を基に、誰が、どの時間に、どのリソースを使うことが認められているかを判断する。SASEでは、SD-WANをCASBやZTNAの機能と組み合わせることがある。
VDI
「VDI」(仮想デスクトップインフラ)は、ユーザーがオフィス内のPCを使うのと同じように、リモートでOSやアプリケーションを利用できるようにする。「DaaS」(Desktop as a Service)はVDIのクラウドサービス版だ。調査会社Gartnerのアナリストであるマイケル・ケリー氏は「VDIは高度に一貫性の高いユーザーエクスペリエンスを実現できる」と説明する。半面、管理は技術的に複雑で、コストも高くなりがちだ。本質的にモバイルデバイスとの相性は良くない。VDIはPC向けの画面をそのまま配信するからだ。
以上に挙げたセキュアリモートアクセスの選択肢の効率性は平等ではないと専門家は指摘する。グレイディ氏は「歴史的に、リモートアクセス技術は破られやすいものだという点が問題だ」と話す。特にVPNは導入に手間がかかり、拡張が難しいと同氏は指摘する。
第3回は、セキュアリモートアクセスを実現する関連技術の将来的なトレンドについて、専門家の見解を紹介する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
昭和大学病院がeICUを導入、ICUの患者情報を遠隔地で一括管理
-
10
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー