かつてリモートアクセス技術は、一部のユーザーしか必要としないものだった。パンデミックを経験した現在、リモートアクセス技術は全従業員に必要なものになった。今後、このニーズはどう変化するか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で2020年初めに英国はロックダウン(都市封鎖)に突入した。その際、セキュアなリモートアクセス技術のおかげで「大きなメリットを享受できた」と、セキュリティ企業Connect Digital Securityのマネージングディレクターであるクレイグ・バード氏は振り返る。同社のスタッフは自分のマシンを持って退出し、翌日には自宅で仕事ができた。「オフィスで自分の席に座ってできることは、どんなことでもリモートでできた」(バード氏)
セキュアリモートアクセス技術の目標は、ネットワークを危険にさらすことなく、地理的に分散したユーザーが仕事のために必要なリソースにアクセスできるようにすることにある。調査会社Gartnerのアナリストであるマイケル・ケリー氏によると、つい最近まで、一般的な企業がリモートアクセスを提供していたのは、ごく一部のIT管理者と、さらに少数のユーザーに限られていた。だがパンデミック(感染症の世界的な流行)が企業を揺るがして以来、セキュアリモートアクセスは、ほぼ全従業員にとって必須になった。
ケリー氏は「『セキュアリモートアクセスとは何か』という問題は、2019年と今では異なる」と話す。2021年の現在におけるセキュアリモートアクセスとは、あらゆる従業員があらゆるアプリケーションに、いつでも、どこからでもアクセスできることを意味する。
この高まった期待に応えることは、今後も引き続き企業にとっての優先課題であり続ける、と専門家は予想する。今後予想される危機に備えるためにも、コロナ禍が収束した後にオフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークに順応するためにも必要だからだ。
米国TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリストであるジョン・グレイディ氏は「セキュアリモートアクセスは、今や従業員が『どこにでも』いることを想定している」と語る。従業員がオフィスにいても、自宅にいても、喫茶店にいても、一貫して持続的なアクセスを可能にするためにはどうすればいいのか――。グレイディ氏が話を聞く企業は、このようなことを懸念しているという。
コミュニケーションベンダーRingCentralの最高情報セキュリティ責任者(CISO)であるヘザー・ヒントン氏によると、多くの企業はリモートユーザーがさまざまなデバイスを横断しながらネットワークにセキュアに接続できる柔軟性を求めている。子どもの送り迎えの途中に車の中でWeb会議を始め、そのWeb会議を車のBluetoothからスマートフォンへ、そしてノートPCへと切り替える――。こうした体験が「今後はますます増える」とヒントン氏は言う。セキュリティ担当者は、従業員の移動やデバイスの切り替えが増えることで重要なデータが危険にさらされることのないよう、対策を徹底させなければならない。
第2回はセキュアリモートアクセスを実現する代表的な技術分野を解説する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
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