著名研究者がみるAppleのセキュリティリスク
「macOS」のセキュリティ担当者が「Arm」を学ぶべき“当然の理由”
macOSデバイスを攻撃から守るためには、Armアーキテクチャについて学習する必要があるとセキュリティ研究者は言う。それはなぜなのか。macOSマルウェアとArmアーキテクチャの関係を説く。
「『macOS』最新版を狙ったマルウェアについて把握するには、『Apple M1 Chip』(Apple M1チップ、以下M1)内部の仕組みを学ばなければならない」。こう指摘するのは、macOSに詳しい著名セキュリティ研究者のパトリック・ウォードル氏だ。M1は、Appleが独自設計したSoC(プロセッサなどシステムの構成要素を1つのシリコンチップに集約した製品)だ。
ウォードル氏は2021年8月に開催された年次のセキュリティカンファレンス「Black Hat USA」で講演。macOSを標的にしたマルウェアの知識を深めるためには、Armアーキテクチャを理解する必要があると述べた。
なぜmacOS攻撃を知るには「Armアーキテクチャ」を知る必要があるのか?
AppleはM1を2020年に発表した。IBMらと共同開発したプロセッサ「PowerPC」から撤退してから初めて投入した独自チップだ。同社は2005年にPowerPCからIntelチップに切り替え、これまでIntel製品を搭載してきた。M1がArmアーキテクチャを採用しているため、Apple製品のユーザー企業のセキュリティ担当はArmアーキテクチャの知識を身に付ける必要がある。
攻撃者はmacOSを狙い、既存のマルウェアをM1向けに最適化したり、“M1ネイティブ”の新しいマルウェアを作ったりし、攻撃を仕掛ける。ウォードル氏は「企業はそれを意識した上でセキュリティ対策を講じなければならない」と語る。同氏によると、Armアーキテクチャについて学習することは「マルウェアの作り手が採用した、マルウェア対策製品からの検知回避手法を発見する唯一の方法」だ。
ウォードル氏は、Appleにも「果たすべき役割がある」と指摘する。マルウェアを隔離してその仕組みを研究する方法の一つに、仮想マシン(VM)の使用がある。M1を内蔵したmacOSデバイスは、現時点でVMの作成はできない。Appleが果たすべき役割とは、仮想化のためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を公開し、VMの作成を可能にすることだ。
Appleは2021年秋、macOSの最新版「Monterey」(macOS 12)を公開する。MontereyではmacOSでの仮想化技術の利用が可能になるという。
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