「Windows」「macOS」セキュリティ比較【前編】
「『Mac』は『Windows』より安全」説はこうして生まれた
「Windows」搭載PCよりも「Mac」の方が安全だという“Mac安全神話”は、なぜ生まれたのか。両者の歴史を振り返りながら、その誕生の背景を探る。
「macOS」は「Windows」より安全だ――。そうした“安全神話”はもう崩れており、そもそも存在しなかった可能性すらある。どちらのOSも攻撃の的にされ、それぞれ「セキュリティの長所も短所もある」との認識が広まってきたからだ。結局のところ、セキュリティの確保はOSではなく、ユーザーの行動次第で成否が決まる。
併せて読みたいお薦め記事
「Windows」と「macOS」の歴史を振り返る
macOSも攻撃の“蚊帳の外”ではない
デスクトップを狙う「2大脅威」とは?
デスクトップOSを狙う2大脅威といわれるのが「マルウェア」と「ソーシャルエンジニアリング」による攻撃だ。どちらもWindowsとmacOSの両方を標的にしており、macOSを搭載するAppleのクライアントデバイス「Mac」ユーザーも決して手をこまねいてはいけない。
マルウェアとは、デバイスを感染させるためのプログラムやファイルの総称だ。標的のPCに入り込んだ後、パスワードやクレジットカード番号を盗んだり、ユーザーの行動を監視したりすることを狙う。システム全体の障害を引き起こすマルウェアもある。
ソーシャルエンジニアリングとは、人をだまして不正侵入のためのIDやパスワードを獲得するなど、人の物理的・心理的な隙を突く行為を指す。例えば攻撃者が技術サポートエンジニアになりすましてユーザーから機密情報を引き出すのが、ソーシャルエンジニアリングのよくある手口だ。
“Mac安全神話”はこうして生まれた Windows対Macに見るセキュリティの歴史
1980年代から、MacはWindows搭載PCよりはるかに安全だと言われ、特にマルウェア攻撃に強いとの評判を得ていた。当時のWindowsは、それまでの主流OSだったDOS(ディスクオペレーティングシステム)を中核とした仕組みだったために、DOSを狙ったマルウェアの攻撃を頻繁に受けていたのが背景にある。
その後Windowsは、DOSに取って代わって主流OSとなった。Windowsの初期版はセキュリティが十分に高いとは言えず、ハッキングやマルウェア攻撃の格好の標的だった。
セキュリティ問題の深刻化を受け、Microsoftは2002年、開発段階からセキュリティを重視する「Trustworthy Computing」(信頼できるコンピューティング)の取り組みを打ち出した。セキュリティの向上を目指した研究に資源を集中して、次世代Windowsの開発は一時的に棚上げした。
当時のMacは攻撃と無縁ではなかったものの、感染事例は比較的少なかった。これはWindows搭載PCの方が普及していたことも影響している。Webサイト分析会社OneStat Internationalが2006年8月に発表した市場シェア(Webサイト利用数ベース)をみると、Windows搭載PCが90%以上を占めていた。こうしたデータから考えれば、サイバー犯罪者が攻撃の標的を重点的にWindows搭載PCに定めたのは驚きではない。
現在はMacも人気が上昇し、特にコンテンツ制作といったクリエイティブ分野で採用が進んでいる。そのためMacを狙った攻撃が活発化して、安全神話の崩壊につながった。
中編は、Windowsのセキュリティアーキテクチャと、その長所と短所を紹介する。
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