「Windows 10」がWindowsの最後のバージョンになるのかどうか、予想するのは難しい。だが同OSの歴史とMicrosoftのアプローチに目を向けると、Windows 10とはどのような位置付けのOSなのかが見えてくる。
Microsoftの開発者ジェリー・ニクソン氏は、「Windows 10」を「Windows」の“最後のバージョン”と呼んだ。Windows 10が2015年に登場してから5年以上が過ぎ、その発言が今も真実かどうか判断するのは難しくなった。
Windows 10がWindowsの最後のバージョンになるのかならないのか、その問いに答えるのは難しい。「Windows 11」は登場するのだろうか、という疑問は残る。それは簡単に答えが出る疑問ではない。だがMicrosoftがどのような経緯でWindows 10の提供に至ったのかを知ることで、今後の動きを予測しやすくなる。
Windowsを巡る時の経過を見ると、Microsoftが長年の間維持してきたアップグレードの歴史的な慣行がある。Microsoftは25年以上にわたって「Windows NT」「Windows 95」「Windows XP」「Windows 2000」「Windows 7」「Windows 8」「Windows 8.1」「Windows Me(Millennium Edition)」「Windows Vista」などに当てはめてきたアップグレードの慣行を、2015年7月のWindows 10の一般提供で打ち破った。
過去の慣行では、MicrosoftはWindowsの特定バージョンを約3年間サポートした。新しいバージョンのWindowsをリリースすると、古いバージョンのサポートを数年間継続した後に「メインストリームサポート」(Mainstream Support)を終了した。レガシーアプリケーションやハードウェアの長期的なサポートを必要とする組織やエンドユーザーは、Microsoftにプレミアム料金を支払うことで「延長サポート」(Extended Support)を利用できた。加えてWindowsの各バージョンにはそれぞれ、不具合の修正や機能強化などを盛り込んだ「サービスパック」(Service Pack)という大規模な更新プログラム群があった。
数年ごとに新しいバージョンとサービスパックを全デバイスに導入しなければならないIT担当者にとって、Windowsの運用は頭痛の種だった。Windowsの新しいバージョンにアップグレードして、新機能や新しいユーザーインタフェース(UI)の使い方を習得しなければならないことは、ユーザーの反感を買いがちだった。数年ごとにOSの習熟度が低下し、それが原因で生産性が低下してしまうからだ。
Microsoftにとっても、この過去のWindowsのアップグレード慣行を続けることは簡単ではなかった。他のソフトウェアベンダーと同様に、Microsoftはソフトウェアの海賊版を封じ込める戦いを強いられ、Windowsを使っている全員に対価の支払いを徹底させるためのライセンス認証とアクティベーションのスキームを開始した。
ライセンス料金の支払いをかわして無料でWindowsを利用するエンドユーザーが増えれば、MicrosoftはOSの安定稼働を維持する能力を失う。中にはサブスクリプション制のクラウドサービスに移行することで海賊版の問題を解決したソフトウェアベンダーもある。だがOSをクラウドサービス化することは、仮想デスクトップに移行する組織を除けば不可能だった。
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