COVID-19で遠隔医療に切り替えた医療機関【後編】
「遠隔医療4600人体制」を夜通し作業で実現した医療機関の“信念”
医療機関Penn State Healthはパンデミックに対処するために、医療従事者とスタッフ合わせた約4600人を一気に遠隔医療体制に移行させた。同機関が「遠隔医療は、今後の医療戦略を前進させる鍵」と考える理由は。
前編「『遠隔医療』にコロナ禍で一斉移行した医療機関の“教訓”」に続き、本稿も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で遠隔医療に切り替えた医療機関の事例を紹介する。
米国ペンシルバニア州の医療機関Penn State Health Milton S. Hershey Medical Center(以下、Penn State Health)で副院長を務めるクリストファー・ラコー氏も、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)に対処するために遠隔医療体制の構築に注目していた。
“夜通し”作業で遠隔医療システムを増強
Penn State Healthは2015年ごろに遠隔医療戦略を導入し、1100人以上の医療従事者のうち約100人が遠隔医療戦略を支えていた。パンデミックが始まると、ラコー氏も前編で紹介したNorman Regional Health System(以下NRHS)と同様の課題に直面した。ただしNRHSと異なり、Penn State Healthの遠隔医療チームは少人数しかいなかった。ラコー氏によると、Penn State Healthは医療従事者とスタッフを合わせた約4600人を遠隔医療システムに追加し、オンライン診療の利用者は2200%増加した。
医療情報管理システム学会(HIMSS:Healthcare Information and Management Systems Society)主催のウェビナーでラコー氏は「私たちは文字通り夜通しでアカウントを作成して、スタッフ、医療従事者、患者をシステムに登録した」と語った。Penn State Healthは24時間365日のオンデマンド体制で運営している緊急医療サービスに、所属の医療従事者を迅速に配備した。
ラコー氏によると、Penn State Healthは医療グループ全体に遠隔医療の体制を迅速に展開しなければならなかったために、結果として医療従事者と患者を素早く効率的につなぐことができた。これはPenn State Healthが今後の医療戦略を前進させるのに必要な要素だと考える価値だ。「私たちは仮想空間の存続に注力している。単にオンライン診療を実施するためでなく、適切な使い方でだ」(同氏)
COVID-19以降の遠隔医療体制をどう維持するか
徐々に正常な日々に戻ることで、医療機関には「何がうまく機能し、何がうまく機能しなかったか」を把握する機会が訪れるだろう。ラコー氏は「組織は患者満足度データを使用して、IT部門と連携してインターネット接続などの問題緩和に取り組むだろう」と話す。これはへき地医療に取り組む医療機関が特に直面していた問題だ。
Penn State Healthの遠隔医療サポートチームは拡大し、手元のサポートを医療従事者に届けられるようになった。こうした医療従事者が、Penn State Healthの最適化に向けた取り組みを助けてくれるとラコー氏は信じている。「私たちは一つの組織として、今後も事業全体でこの点に重点的に取り組む。これは前進のための手段だ」(同氏)
NRHSで遠隔医療コーディネーターを務めるモリー・マックールヘア氏も「当機関の遠隔医療チームは拡大している」と説明する。マックールヘア氏によると、遠隔医療チームとしてのNRHSのゴールは、NRHSが提供する医療のあらゆるタッチポイント、つまり一連のケアに遠隔医療を組み込むことだ。「私たちは対面診療か遠隔診療かを区別したいのでなく、全てが医療なのであって、それを届けるさまざまな方法が存在するだけだ。患者必要な医療を提供する上で、最も有効な方法は何かを問えばいい」(マックールヘア氏)
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
9
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
10
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー