「5G」のプライベートネットワークには幾つかの導入形態があり、クラウドサービスを活用した構築も可能だ。基本的な構築方法を見ていこう。
前編「『プライベート5G』『ローカル5G』とは? “自社専用5G”をかなえる方法」は、ユーザー企業が「5G」(第5世代移動通信システム)をプライベートネットワークとして利用するメリットを解説した。中編となる本稿は、ユーザー企業が5Gのプライベートネットワークを構築する場合に知っておくべきポイントを紹介する。
5Gの主な構成要素は
の3つだ。ユーザー企業が5Gのプライベートネットワークを構築する際は、このうちコアネットワークとRANをどのように導入するかを検討する必要がある。
コアネットワークは5Gの基幹ネットワークだ。5Gのプライベートネットワークでは、コアネットワークはプライベートネットワークからインターネットへの接続や、プライベートネットワーク全体を制御するコントロールプレーンの役割を果たす。
ユーザー企業が5Gのプライベートネットワークを構築する場合、コアネットワークを複数のユーザー企業が共用するクラウドサービスの利用が広がる可能性がある。これはコアネットワークを個別に構築する場合と比較して、ユーザー企業にとっても、通信会社やベンダーにとっても魅力的だ。ユーザー企業側はあらかじめ構築済みのコアネットワークを利用できるため、5Gの技術を学んだり、運用したりする必要がない。通信会社やベンダー側は、自前の設備を利用してコアネットワークを構築し、マネージドサービスとして効率的にコアネットワークを提供できる。
RANはデバイス同士やデバイスとコアネットワーク間の接続を担う。ユーザー企業が5Gのプライベートネットワークを構築する際、パブリックネットワークを部分的に占有する「プライベート5G」を選ぶ場合は、基本的には通信事業者が管理する電波を利用してコアネットワークとRANを接続する。通信事業者以外の企業が5Gの免許を取得してプライベートネットワークを構築する「ローカル5G」の場合は、専用の小規模なネットワークにRANを接続する。
「5Gのプライベートネットワークは多くの場合、ミッションクリティカルなアプリケーションや、高いモビリティが要求される状況で使用されるだろう」。エッジコンピューティング関連のソフトウェアベンダーZEDEDAのエコシステム担当バイスプレジデント、ジェーソン・シェパード氏はこう語る。
例えば自動車製造において、製造機器や従業員といったリソースの稼働状況を追跡してデータをリアルタイムに処理することで、一日の中でリソースを柔軟に配備することが可能になり、生産効率が向上する。一般的なネットワークサービスのサービス提供エリア外となる遠隔地であっても、デバイスの接続密度が高く、データ伝送速度が高速なネットワークを迅速に構築できる。
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