Appleはバグ報奨金プログラムの対象を「macOS」の脆弱(ぜいじゃく)性にも拡大し、同時に報奨金を引き上げる方針だ。脆弱性の種類によっては、報奨金の金額は100万ドルにもなる。
Appleが初めてバグ報奨金プログラムを発表したのは2016年、セキュリティカンファレンス「Black Hat 2016」の会場だった。そして2019年、同社はこのプログラムの対象に「macOS」を加え、「iOS」向けの報奨金を引き上げると発表した。同社でセキュリティのエンジニアリングとアーキテクチャの責任者を務めるアイバン・クリスティッチ氏は、この大ニュースを「Black Hat 2019」でのプレゼンテーションの最後に発表した。
Appleはバグ報奨金プログラムの対象を、幅広いApple製品に拡大させる。これまでの対象はiOSと、Appleのクラウドサービス「iCloud」だけだったが、セットトップボックス「Apple TV」用OSの「tvOS」や、スマートウォッチ「Apple Watch」用OSの「watchOS」、macOSも対象に加える。
「これまでは影響の大きい脆弱(ぜいじゃく)性に範囲を絞り、一部の研究者のみに限定していたが、非常に価値の高い報告が約50件寄せられた。これをさらに拡大し、2019年秋からはAppleセキュリティプログラムを全ての研究者に開放する」。クリスティッチ氏は壇上でこう述べた。
Appleは一部の研究者に、同社が使用している開発モデルと同様のiOSデバイスを提供するという。クリスティッチ氏はこうしたデバイスがなければ報奨金プログラム参加の障壁になると認める。同社はこの新プログラム「iOS Security Research Device」を2020年に申し込み制で開始する。クリスティッチ氏は申し込み要件を明言しなかったが「何らかのプラットフォームに対する質の高いシステムセキュリティ研究実績」(同氏)があれば誰でも検討対象になるという。
iOS Security Research Deviceへの参加を認められた研究者に対して、Appleは「製品用でも開発用でもない新しい研究用」(クリスティッチ氏)デバイスを提供する。このデバイスはリモート操作でコマンドを実行するSSH(Secure Shell)、root(管理者権限を持つユーザー)で使えるシェル、デバッグ機能が利用できるという。
「他社製品の研究に時間を費やしてきた研究者を引き寄せたい」とクリスティッチ氏は語る。そうした研究者たちからは「Apple製品を研究したくても、ハードルが高過ぎる」という声が寄せられているという。「彼らは全ての機能を入手しないと研究に着手することすらできない」(同氏)
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