データ活用で生まれ変わるイプスウィッチ港
輸出港がAI×IoTで「スマート港」へ“船出” クレーン停止時に狙い撃ち保守
英国最大級の穀物輸出港、イプスウィッチ港はBT GroupのIoT技術を駆使し、データ分析に基づいた港湾運営に乗り出す。大手ITベンダーと手を組んでどう生まれ変わるのか。「進化」に精を出す同港の取り組みを追った。
港湾運営を手掛けるAssociated British Ports(ABP)はITベンダーのBT Groupとタッグを組み、英国のイプスウィッチ港でIoT(モノのインターネット)技術の活用に取り組む。センサーでさまざまなデータを収集して分析し、貨物の移動といった運営プロセスの迅速化を目指す。
クレーンが「動かない時間」を正確に把握して保守 港湾設備を有効活用
英国東部に位置し、オランダやフランスへの距離が短いイプスウィッチ港は、英国で有数の穀物輸出港だ。扱う貨物は穀物以外にも肥料やセメント、砕石など多岐にわたり、年間200万トン程度の貨物を扱っている。
ABPとBTは今回、イプスウィッチ港のクレーンや輸送設備にセンサーをはじめとしたIoT装置を導入。貨物の集積や輸送の各工程でデータを収集し、人工知能(AI)技術を活用した仕組みで分析して視覚化する。データに基づいて貨物の積み降ろしや輸送をリアルタイムで追跡することにより、港湾運営の効率化につなげる狙いだ。
収集するデータは積み降ろした商品重量をはじめ、移動の距離や時間、ルートなど、広い範囲をカバー。ABPとBTは分析したデータを港湾管理側に送り、オペレーションの進捗(しんちょく)具合が分かるようにする。港湾管理側はデータに基づいてオペレーションのスピードや効率性を把握し、改善に向けた迅速な判断に役立てる。
データ分析にはもう一つの狙いがある。港湾設備の「使われない時間」を正確に把握することがそれだ。クレーンを例に考えてみよう。港湾管理側がクレーンの使用されない時間が分かれば、その時間を生かして物流の流れを止めずにクレーンのメンテナンス作業ができる。クレーン操縦者の配置の最適化も考えられる。イプスウィッチ港はこのようにさまざまな無駄を省くことによって、コストや温暖化ガスの削減を図ろうとしている。
ABPでウェールズ・近海地域の担当ディレクターを務めるアンドリュー・ハーストン氏は、「イプスウィッチ港が“スマート港”を目指す上で、BTとの取り組みは大きな前進となる」と語る。データ活用によって同港の生産性を高めたり、コストを減らしたりすることは、結果として顧客満足度の向上にもつながるとハーストン氏は言う。
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