5Gと4Gが実現する“つながるロンドン地下鉄”【後編】
ロンドン地下鉄が「地下鉄=圏外」の“常識”を打破したい本当の理由
チューブ(Tube)として親しまれるロンドン地下鉄が、全域で高速な通信インフラを整えている。目的は駅や車両でインターネット接続を可能にすることだけではない。その延長線上には、ある「大きな狙い」がある。
ロンドン交通局(TfL:Transport for London)はロンドン地下鉄の全ての駅構内と走行中の車両内で、利用客や駅員が快適にインターネット接続できる通信インフラを整えるために、ネットワーク構築ベンダーのBAI Communicationsと契約を結んだ。“つながらない”ことを課題としてきたTfLが重い腰を上げた大型プロジェクト。前編「『圏外』だったロンドン地下鉄が“5Gも4Gもつながる地下鉄”へ その方法とは?」に続き、後編となる本稿は、同局が進めるロンドン地下鉄の“つながる地下鉄”化の延長線上にある狙いに迫る。
ロンドン地下鉄が“つながる地下鉄”化にこだわる“あの理由”
TfLが契約を結んだBAI Communicationsは、ニューヨークやトロント、香港といった大都市で通信インフラの構築実績が豊富だ。BAI Communicationsによると、構築に着手したロンドン地下鉄のネットワークは、全ての携帯電話事業者が利用できる。
BAI Communicationsの英国CEO(最高経営責任者)、ビリー・ダルシー氏は「TfLとの取り組みによってロンドン経済の活性化を後押しする」と意気込みを見せる。ダルシー氏は高速なインターネット接続ができる通信インフラを武器にロンドンの魅力を高め、世界から注目される投資先であり続けることにつなげたいと考えている。
世界各国の都市で「5G」(第5世代移動通信システム)を活用したIoT(モノのインターネット)が普及し始めている中、高速のインターネット接続ができるインフラ構築は国際競争力を維持する上で欠かせない。ロンドンが目指す“つながる”化の対象は、地下鉄にとどまらない。BAI Communicationsと手を組むことで、将来は町全体に広がる通信インフラを作り、「急成長を遂げている5Gの企業向けやアプリケーションやスマートシティー向けアプリケーション」(BAI CommunicationsのダルシーCEO)を開発しやすくする狙いがある。
ロンドン市長のサディク・アマーン・カーン氏は、「ロンドン市民には市長選挙の際、ロンドン地下鉄全域で高速なインターネット接続の実現を公約していた」と語る。今回のBAI Communicationsとの契約によって公約を果たすことになるとカーン氏は言う。同氏は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)の収束後に向け、ロンドン経済の活性化を最優先事項に掲げ、そのために通信インフラの強化に積極的に投資する方針だ。
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