「ハイパースケールクラウド」から学ぶ【第2回】
「大規模クラウド」のストレージ設計も夢ではない IT担当者が盗むべき運用術
ITインフラをソフトウェアで制御する流れはストレージにも広がっている。一般企業はハイパースケールクラウドに倣い、ソフトウェア定義ストレージ(SDS)を活用することでさまざまなメリットを得ることができる。
大規模データセンターで稼働する広範なクラウドサービス群「ハイパースケールクラウド」。一見して遠い存在に見えるハイパースケールクラウドからユーザー企業が学べることは、実は多彩だ。第1回「一般企業もまねしたい『大規模クラウド』の設計・運用ノウハウとは?」に続き、第2回となる本稿はストレージの設計や管理を最適化するためのヒントを探る。
併せて読みたいお薦め記事
話題の「ハイパースケールクラウド」とは何か?
第1回はハイパースケールクラウドの事業者とユーザー企業の共通点を取り上げた。もちろん両者には相違点もある。ユーザー企業の大半は、IT担当者が手作業でシステムを管理したり変更したりしているため、人件費がかさむ課題を抱えている。ユーザー企業が使うサーバやストレージといったハードウェアは、拡張性を欠いていることがほとんどだ。その結果、ユーザー企業はビジネスの状況に合わせたシステムの拡張や縮小がしにくくなり、高コストにつながってしまう恐れがある。
こうした課題を抱えるユーザー企業こそ、ハイパースケールクラウドの事業者から学べることがある。例えば、以下で紹介する「6つのポイント」に取り組むことでシステムの最適化を図れる。
1.ソフトウェアをフル活用する
ITインフラの分野には仮想化という大きな流れがある。サーバを中心に、ハードウェアの物理リソースをソフトウェアによって抽象化する技術が使われるようになった。今や仮想マシン(VM)は、企業でアプリケーションを実行するための標準インフラになっている。VMに続いてコンテナも使われるようになった。ソフトウェア定義ネットワーク(SDN:Software Defined Network)も登場し、ソフトウェアによってネットワークを仮想化し、構築できるようになった。
ハードウェアに依存しない流れはストレージにも広がり、ソフトウェア定義ストレージ(SDS:Software Defined Storage)を生み出した。SDS製品はもともと、「ブロック」(記憶領域を論理的に分割した単位)を動的に拡張するなど、特定の仕組みで設計されていた。最近のSDS製品は特定のストレージ形式に依存せず、複数のサーバで単一の論理ボリュームを構成し、容量を増やしたり、ファイル共有ができるようにしたりしている。
2.「インフラ」ではなく「サービス」を構築する
ソフトウェアによる抽象化はリソースをハードウェアから切り離し、さまざまなハードウェアを組み合わせられるようにする。これにより、企業はリソースを「サービス」として提供できる。SDSを活用すれば、データ容量の増加はもちろん、バックアップや長期アーカイブ、バージョン管理といった“付加価値”を付けることが可能だ。これに関して、ユーザー企業はハイパースケールクラウドの事業者に倣うべきと言える。
インフラをサービス化することで、性能のアップグレードがしやすくなる、システム設計や関連サービスをひとまとめにして提供できる、といったメリットが見込める。他にも、性能の異なるサーバを複数のデータセンターに分散させ、システムの可用性を高めることにもソフトウェアによる抽象化が役立つ。
第3回は、自動化を目指した設計と、故障への備えを紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー