仕事で使うメタバース【前編】
Meta、Microsoft、NVIDIAのメタバースは「Second Life」の二の舞!?
にわかに脚光を浴びる「メタバース」を見ていると、Second Lifeの悪夢が脳裏をよぎる。メタバースは企業に何をもたらすのか。ビジネス視点でMeta、Microsoft、NVIDIAのメタバース戦略を紹介する。
「メタバース」は作家ニール・スティーヴンスンが1992年に発表したSF小説『スノウ・クラッシュ』で生み出した言葉だ。同作では、メタバースは物理空間と物理的に見える仮想の世界を組み合わせた共有仮想空間の総称であり、そこには仮想世界、拡張現実、インターネットが集約されていた。ただしその考え方自体はウィリアム・ギブスンが1984年に発表した『ニューロマンサー』までさかのぼる。同作ではメタバースを「サイバー空間」と表現していた。今日では「World of Warcraft」「Minecraft」「Roblox」などのオンラインゲームにもメタバースの要素が取り込まれている。
Meta、Microsoft、NVIDIAのメタバース戦略
メタバースという考え方は、不安や恐れを生み出すかもしれない。だが、現実生活とデジタル生活の融合は既に進んでいる。好むと好まざるとにかかわらず、5年先であろうと10年先であろうと、大手IT企業は技術、プラットフォーム、インフラに取り組み続けていく。
Meta Platforms(旧Facebook、以下「Meta」)は2014年にOculus VRを買収するなど、ARとVRに多額の投資を行っている。VRヘッドセット製品「Oculus Quest」シリーズは、2022年から「Meta Quest」になるだろう。Metaのメタバース「Horizon Workrooms」は現在、オープンβだ。これはMetaの主力コラボレーションエクスペリエンスで、物理的な距離に関係なく人々は同じ仮想の部屋で作業できる。VRヘッドセットを使えば、デジタルアバターを使ってオンラインオフィスで対話することが可能だ。これはヘッドセットを使った単なるビデオ通話ではない。メンバーはデジタルホワイトボードを共有し、アバターと対話して指向性オーディオを体験できる。
Microsoftも独自のメタバースビジョンを準備している。同社は「HoloLens」を開発し、2017年には「AltspaceVR」を買収した。FacebookがMetaに社名変更した直後、Microsoftは複合現実機能「Microsoft Mesh」を2022年に「Microsoft Teams」に導入することを発表した。Meshは仮想エクスペリエンス向けのコラボレーションプラットフォームだ。これによってTeamsに企業独自のメタバースを構築し、3Dアニメーションのアバターが使えるようになる。Microsoftのメタバース技術スタックにはMesh、「Azure IoT」「Azure Digital Twins」などが含まれる。
MicrosoftとMetaはTeamsと「Workplace from Meta」(旧Workplace from Facebook)の統合を発表した。これにより、TeamsでWorkplaceのコンテンツにアクセス可能になる。有償ユーザーベースの点ではTeams(2021年7月時点で2億人)がWorkplace(2021年5月時点で700万人)をはるかに上回ってはいるが、いずれにせよエンタープライズメタバースへの道のりを加速する一歩になる。ただし、人々が個人のソーシャルメディアに仕事生活を融合させたいかどうかや信頼とプライバシーについての問題は懸念される。
NVIDIAは、ユーザーが仮想世界を構築できるオープンソースツール「NVIDIA Omniverse」を発表した。Omniverseは「物理的に正確な仮想3D世界の結合組織として機能する」シミュレーションおよびコラボレーションプラットフォームだ。Ericssonは5Gネットワークのデプロイ方法を検討するために、Omniverseを用いてデジタルツイン(物理資産の3Dレプリカ)を構築している。
後編では、業務や産業に導入されつつあるメタバースを紹介する。
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