多くの企業が気付いていないコンシューマーテクノロジー活用の効用なぜもっと早くからこうしなかったのか

さまざまな技術が個人でも利用できるようになった。だが、企業はそれらをほとんど活用していない。コンシューマーテクノロジーが生み出す革新もさることながら、他の価値に企業は気付いていない。

2016年09月08日 08時00分 公開
[Lewis RichardsComputer Weekly]

 ITのコンシューマライゼーションにより、GPS、iBeacon、360度カメラ、ウェアラブル端末、ドローン、センサー、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのテクノロジーが個人の手に届くものになった。だが、企業はこのような低価格のコンシューマーデバイスをビジネスに導入して活用することを積極的には検討していない。

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 大企業の大半が重視するのは、ITを使った業務の生産性向上だ。そのため、IT部門の大規模プロジェクトは、サイバーセキュリティの強化、ビッグデータの操作、クラウドの活用などに関連するものが多くなる。だが、コンシューマーデバイスには、顧客サービスや現場のエンジニアなど、末端のビジネスプロセスを改善するチャンスがある。

 企業の中心部でIT予算を決め、新しい実験には許可を必要とする企業文化では、こうしたチャンスのほとんどは見過ごされることになる。多くの社員がスマートフォンやタブレットなどのデバイスを使っているとはいえ、新しいテクノロジーに詳しくなるのは一部に限られる。

 こうした問題に目を向けたのが、英国のほぼ全土と米国北西部に2000万人の顧客を抱える電力とガスの公益事業会社National Gridだ。同社は、基幹となる巨大なエネルギーインフラを所有・運営している。同社のデジタルイノベーションマネジャー、デビッド・ゴールズビー氏は、5年をかけて現場のエンジニアが利用できる機器を調査しようと考えた。

 現場エンジニアの将来について深く考えるため、ゴールズビー氏はXperience Labを利用している。このラボは、最も関連性が高い最新のモバイルテクノロジーやカスタムテクノロジーを集めたもので、社員はこのラボを利用してテクノロジーの使い方を探ることができる。最高のアイデアは、いつもユーザーからもたらされる。

 ラボのセッションでは実践的な学習を組み合わせることで、さまざまな機器の機能を探りながら、それを業務に生かせるアイデアが得られるようにしている。ラボの真の価値は、さまざまなテクノロジーに「触れる」ことではなく、コンシューマーテクノロジーを(通常はAPIを使用して)連携させ、幾つかのアイデアのプロトタイプを作り出せるようにすることだ。

 National Gridがこのワークショップから直接得た成果の1つが、iPadに350ドルのスキャナーを取り付けるというアイデアだ。

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