テレワーカーのBCP【後編】
「自然災害でテレワーカーが働けない」に備えて企業がすべきことは
米国は2020年に、10億ドル規模の被害額となった自然災害が22件発生した。新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークは普及したものの、テレワーカーの被災に備えた事業継続計画(BCP)はどうすればいいのか。
前編「災害時は『発電機』と『衛星インターネット』が必要? 在宅勤務のBCPが進まない理由」は、テレワーカーの被災を想定した事業継続計画(BCP)の整備が進まない理由を考察した。後編は、テレワーカーが被災したときの具体的な支援策を探る。テレワークが普及した社会で自然災害が生じたとき、雇用活動に影響が及ぶ可能性についても考察する。
「自然災害でテレワーカーが働けない」にどう備えるか
米国海洋大気庁が2021年1月に発表したレポートによると、被害額が10億ドル以上となった自然災害(ハリケーン、干ばつ、暴風雨など)は2020年に22件発生した。
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事業継続性に関するコンサルティング企業Puldy Resiliency Partnersの創設者で最高経営責任者(CEO)を務めるマイケル・パルディ氏は次のように述べる。「テレワークのポリシーに基づき、PCやインターネットの費用を雇用主が負担するという手がある。恐らくほとんどのケースはそれで問題ない。だが大規模災害では一定数の従業員が働けなくなることを想定しなければならない」。
雇用主が、事業継続性を確保するために選ぶ可能性が最も高い選択肢は「事業継続に必要不可欠な従業員とその家族を、災害時でも電力が供給される地域に移すこと」だとパルディ氏は話す。調査会社Forrester Researchでバイスプレジデント兼リサーチディレクターを務めるエイミー・デマルティン氏は「テレワーカーはいつでも電源とインターネット接続を確保できるものだと雇用主は思い込んでいたが、その前提はもはや成り立たない」と指摘する。
テレワークの方針によって、携帯電話やインターネットの利用料金を負担する企業もあれば、椅子やモニターなどの購入補助費用を毎年支給する企業もある。だが「企業がこれ以外のものを負担することはほとんどないだろう」とデマルティン氏は予想する。
デマルティン氏は「雇用主は暴風雨の間、事業継続に必要不可欠な従業員をホテルに移動させることができる」と述べる。だが悪天候の影響を受けるのは、現時点で会社の名簿に載っている従業員だけにとどまらない可能性がある。デマルティン氏は、自然災害が影響を及ぼすリスクの一例として雇用の問題を挙げる。
「(ハリケーン『アイダ』の被害に遭った)ニューオーリンズで従業員を雇わなくてはならない正当な理由がないのであれば、例えばコロラド州で新しい従業員を雇用し、被災リスクの高いニューオーリンズ地域で雇用することを避けることもあり得る」とデマルティン氏は指摘する。こうした雇用の判断は、時間の経過とともに重要性を増す可能性があるという。
自然災害によってテレワーカーが業務に従事できなくなるリスクはあるとしても「労働力を分散することにはメリットがある」と、テレワーク研究およびコンサルティング企業Global Workplace Analyticsの社長であるケイト・リスター氏は話す。「テレワークは数十年前から、政府機関や民間企業におけるBCPの中心に位置している」(リスター氏)
一方でリスター氏は、自然災害リスクの高い地域に住む応募者を不採用にする可能性に関して「昨今の人材不足を考えれば、そのようなことはあり得ない」と語る。
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