ランサムウェア攻撃の被害を防ぐ「5W」【後編】
ランサムウェア対策に失敗しないためには「どこ」で感染するかを考えるべし
ランサムウェア攻撃に立ち向かうためには、攻撃の対象が何かを正確に把握し、企業が一丸となって対策を講じる必要がある。その理由とは何か。経営者も含め、全員の意識を高めるためのこつは。
勢いを増しているランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃。企業は事前に「5W」(5つの問うべきこと)を軸にした計画を立てれば、ランサムウェア攻撃による被害を最小限に抑えることができる。前編「企業が“ランサムウェア攻撃責任者”を決めるのはなぜ重要なのか」は「Who」(誰が復旧の責任者か)、「What」(何を対象に復旧を図るか)、「When」(いつの時点のデータを復旧させるか)を取り上げた。後編となる本稿は、「Where」(どこで感染するか)と「Why」(なぜ復旧が重要か)を考える。
4.「どこ」(Where)でランサムウェアに感染するか
併せて読みたいお薦め記事
ランサムウェア攻撃に立ち向かうための知恵
ほとんどのランサムウェア攻撃は、システムの本番環境を標的にしている。そのため、本番環境とは異なるインフラで、バックアップ用のデータを用意することが重要だ。例えばクラウドサービスの「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」には、サービス型のディザスタリカバリー(DR)機能「DRaaS」(Disaster Recovery as a Service)がある。企業はそれを活用することで、バックアップのデータをクラウドサービスで保管できる。そのデータがあれば、攻撃後、迅速にシステム復旧を図れる。
企業はデータの復元にこぎ着けた後も、本番環境をしばらく利用できない可能性がある。そのため、臨時のシステム運用環境であるDRサイトは、本番環境と同様のデータ量を処理できるかどうかの確認が必要だ。
ランサムウェア攻撃による影響は、ネットワークを含めたインフラやデータ、業務プロセスなど多岐にわたる。そのため企業には、ランサムウェア攻撃のあらゆるシナリオを想定し、広範囲をカバーする緊急時対応計画を策定することが求められる。ランサムウェア攻撃の「後」も視野に入れ、原因調査のための証拠を集めたり、セキュリティを再評価したりするための備えも重要だ。
5.「なぜ」(Why)復旧対策が重要なのか
データ復旧計画の策定に必要なのは、企業全体のコミュニケーションと、IT部門内の密な情報共有だ。これらによってデータ復旧計画の「なぜ」が現場に浸透し、防御に取り組むモチベーションが高まる。「当社で最も起こりやすい被害とはどのようなものか」「攻撃されたら、私たちの仕事にどんな影響が出るか」といったことを明確に伝えれば、従業員一人一人にとってデータ復旧計画がより身近に感じるはずだ。
ランサムウェア攻撃に立ち向かい事業継続を図る取り組みへの投資は、企業の「明日」への投資でもある。IT部門はデータ復旧計画に必要な予算を確保するために、経営陣にランサムウェア攻撃によるビジネスへの影響を具体的に示しながら、経営的な視点から対策の重要性を説明するとよいだろう。経営陣の理解を得た上、全社一丸となって計画を策定して実行することが大切だ。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
2
膨らむAIコストに歯止め GitHubのマルチモデルルーターは何が違うのか
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
5
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
-
6
「にゃんこ大戦争」インフラ“大引っ越し”の理由 なぜAWSからGoogle Cloudに?
-
7
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
10
自社製半導体だけでは限界? AmazonがQualcommに9兆円超を託す真意
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー