CEO単独インタビュー「新生SUSEが狙うもの」【第4回】
SUSEの「RHEL代替品」は“朗報”なのか、野望に終わるのか?
Red Hatの「RHEL」の代替製品を開発し、Linux市場で攻勢を掛けるSUSE。今後の課題になるのは、RHEL代替製品をどう普及させるかだ。同社のCEOとCTOの考えは。
企業向けLinuxディストリビューション(配布用パッケージ)ベンダーSUSEは、オープンソースソフトウェア(OSS)の市場で新たな商機をつかもうとしている。取り組みの一つは、競合Red Hatの企業向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)との互換ディストリビューションの開発だ。同社は互換ディストリビューションをどのように市場に浸透させるのか。SUSEのダークピーター・ファン・レーベンCEO(最高経営責任者)と、トーマス・ディ・ジャコモCTO(最高技術責任者)に聞いた。
「RHEL代替品」は朗報か OSSコミュニティーの出方は?
併せて読みたいお薦め記事
連載:CEO単独インタビュー「新生SUSEが狙うもの」
- 第1回:OSSらしくない「Linuxディストリビューションの矛盾」とは
- 第2回:商用Linux「RHEL」の対抗馬“SUSE”が打ち出すこれからの技術とは?
- 第3回:Red Hatの「RHEL」に不満な人を救うのは“SUSE”か?
Red Hatの強みとは何か
―― RHELの代替製品をどのように市場に普及させるつもりですか。
ファン・レーベン氏 RHELの代替製品を開発する目的は、OSSのユーザー企業と、開発コミュニティーとの関係づくりのためだ。当社には「SUSE Liberty Linux」というサポートプログラムがある。このプログラムを利用すれば、RHELのユーザー企業は容易に当社製品に切り替えることができる。
SUSEは「OSSとは何か」を常に考えている。Red Hatが非公開にしたRHELのソースコードを、RHELの代替製品の提供によって再び公開することを決めたのはそのためだ。この決断は、OSSコミュニティーの発展に貢献すると考えている。RHELの代替製品を受け入れてくれるかどうかは、OSSコミュニティーの判断次第だ。
ディ・ジャコモ氏 当社の協力者の一人が、OSSベンダーCtrl IQ(CIQの名称で事業展開)のCEOを務めるグレゴリー・カーツァー氏だ。同氏はRHELと互換性のあるLinuxディストリビューション「Rocky Linux」と「CentOS」の創設者でもある。当社は特定の企業ではなく、OSSコミュニティーの方々の協力を得ることによってRHELの代替製品を普及させたい。
もちろん、当社は商用版のLinuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server」(SLES)をやめるわけではない。SUSE Linux Enterprise ServerとRHELの代替製品という2つの柱で事業拡大を図る。
ファン・レーベン氏 SUSEは、OSSのライフサイクルを運営するための人的リソースとノウハウを持つ希少なベンダーだと自負している。当社にとって、これはごく自然なことだ。SUSEはOSSの開発コミュニティーで非常によく認知されているので、コミュニティーの知見を利用できる。当社のビジネス規模を考えると、SUSEはOSS開発コミュニティーの最大のコントリビューター(貢献者)だと言っても過言ではない。
Red HatがRHELへのアクセスをRed Hatのユーザー企業に限定することを受けて、当社のユーザー企業はRHELの代替手段を求めていると実感している。当社がRHELのユーザー企業に何を提供するのかを分かりやすい例で言うと、電話番号はそのままで、携帯電話のキャリア(通信事業者)を変えることのできるサービスだ。ソフトウェアはそのままで、SUSEからサービスを受けられる。これが代替ディストリビューションの価値だ。
第5回は、ベンダーロックインの問題をSUSEがどう考えているのかを探る。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー