新製品開発に注力し、競合Red Hatに果敢に対抗しようとしているSUSE。「全てはユーザー企業のためだ」と語るSUSEのCEOに、取り組みの“理由”を聞いた。
企業向けLinuxディストリビューション(配布用パッケージ)ベンダーSUSEは、Red Hatが開発している企業向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)互換ディストリビューション(代替製品)を開発することを発表している。その狙いとは何か。2023年5月に就任し、SUSEを新たな成長に導こうとしている同社のダークピーター・ファン・レーベンCEO(最高経営責任者)に聞いた。
―― SUSEは、Red HatのRHEL互換ディストリビューションを開発することを明らかにしています。その背景や狙いは何でしょうか。
ファン・レーベン氏 伝統的に、SUSEはLinuxの製品・サービスポートフォリオで知られている。それがSAPとの強固な関係の土台となってきた。現在では、当社Linux製品はSAP製品に適したものと見なされ、さまざまな大企業が採用している。それとは別に、当社は「Linux以外の選択肢」を求めるユーザー企業から選ばれたいと考えている。大半の企業はオープンソースソフトウェア(OSS)をLinuxに集約することも、プロプライエタリソフトウェア(ソースコード非公開のソフトウェア)のベンダーロックインも望んでいない。
RHELの代替製品の開発は、当社都合で決めたことではない。ユーザー企業から「代替手段が必要だ」という強い要望をもらって決定したことだ(注)。RHELへのアクセスが限定されることは、ユーザー企業のみならず、OSSの開発コミュニティーにも影響を与えるとみている。そのためにも、RHELの代替製品を提供する必要があると考えた。
※注:Red HatはRHELへのアクセスをRed Hatユーザー企業に限定することを決めた。
SUSEの従業員はOSSコミュニティーに強い帰属意識があり、全員が情熱を持って仕事に取り組んでいる。そういう文化が根付いている企業のCEOとして、私はOSSのソースコードや知的財産を競争に使うべきではないと考えている。競争に使っていいのはOSSの「付加価値」だけだ。具体的にはOSSを実行するためのサーバや認証ツール、サポートサービスなどになる。当社はこのことを強く意識し、RHELの代替製品の開発に踏み切った。そうしなければ、ユーザー企業にとっての選択肢が失われることになってしまう。
第4回は、RHELの代替製品を普及させるための戦略についてSUSEに尋ねる。
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