2025年に訪れる転機
2.4億台が「電子ごみ」に? PCの買い替えが進む“コロナ特需”だけではない事情
2020年のコロナ禍で需要が高まったノートPCは、さまざまな理由で買い替え時を迎えている。大規模な買い替え需要の背景と、それに直面する企業が対処すべき問題を取り上げる。
ハードウェア業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)時にノートPCを購入したエンドユーザーが、2025年に買い替えを検討するとみる。そうした動きはなぜ起きるのか。背景には、パンデミックによる特需だけではないさまざまな理由がある。
なぜPCの買い替えが進むのか
エンドユーザーが新しいノートPCへの買い替えを検討する理由には、2025年10月の「Windows 10」サポート終了や、現状より多くの人工知能(AI)ツールを活用できるノートPCへの期待がある。
ノートPCの買い替えサイクルに注目している企業の一つが、ノートPCの再製造を手掛けるCircular Computingだ。同社は再製造ノートPCを提供するための流通網を拡大してきた。5年ほど使われた古いノートPCの買い替え需要が加速すると同社はみる。同社は独自調査を通じて、法人と個人の両セグメントで大規模な投資が見込まれることを確認した。
2020年のロックダウン(都市封鎖)を伴うパンデミックによって、在宅勤務の必要性からノートPCの需要は急増した。
これらのPCは販売から5年が経過し、性能低下や高度なアプリケーションの実行困難など、さまざまな問題に直面している可能性がある。これらのPCは主にWindows 10搭載機であり、2025年10月に迫る同OSのサポート終了期限も課題だ。
「2020年、COVID-19による移動規制と世界的な半導体不足を受けて、消費者と企業の両方が、全国的なロックダウンに先立ってノートPCを確保しようと買い急いだ結果、パンデミック特需が生まれた」。Circular ComputingのCEO兼創業者のロッド・ニール氏はそう説明する。
2025年を迎え、在宅勤務用に購入されたPCは型落ち品になり、性能面で問題が出始めている可能性がある。ニール氏は「世界中に普及しているOSであるWindows 10のサポート終了とAI技術への関心が合わさって、再びPC購入が急増する状況が生まれている」と補足する。
2020年から働き方が変化し、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」もさらに普及した。ノートPCのアップグレードを検討している大多数のエンドユーザーは、個人使用と仕事の両方をカバーし、十分な性能を提供するノートPCを求めている。
ニール氏は再生品を買い換えの選択肢として提案することに注力するだけではなく、古いノートPCがごみとなり、埋め立て地に捨てられるリスクについても警鐘を鳴らしている。
調査会社Canalysは、エンドユーザーが最新のOSを搭載した新しいPCにアップグレードすることを受け、推定2億4000万台のWindows 10搭載PCが電子ごみになる可能性があると警告する。
「PCを買い替える理由が何であれ、企業は持続可能性(サステナビリティ)についての取り組みを、口先だけではなく実際に行動する時が来た」とニール氏は述べる。消費者の中では、所有するPCなどの製品を自分で修理できる「修理する権利」(Right to Repair)を求める運動が広がっている。同時に、企業が掲げる温室効果ガス削減目標の年である2030年や、カーボンニュートラル(CO2排出量と吸収量の相殺)の公約の期限である2050年が迫る中、ニール氏は「『新品』はもはや名誉の印ではなくなった」と指摘する。
「企業は従来の調達方法や消費習慣にこだわるのではなく、長期的な視点を持つべきだ。中古IT機器の活用によってコストとCO2排出量を削減することは、容易かつ合理的な選択肢だと言える」(ニール氏)
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